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329AC0000000113
昭和二十九年法律第百十三号
交通事件即決裁判手続法
(この法律の趣旨)
第一条
この法律は、交通に関する刑事事件の迅速適正な処理を図るため、その即決裁判に関する手続を定めるものとする。
(定義)
第二条
この法律において「交通に関する刑事事件」とは、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第八章の罪にあたる事件をいう。
(即決裁判)
第三条
簡易裁判所は、交通に関する刑事事件について、検察官の請求により、公判前、即決裁判で、五十万円以下の罰金又は科料を科することができる。
この場合には、刑の執行を猶予し、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。
2
即決裁判は、即決裁判手続によることについて、被告人に異議があるときは、することができない。
(即決裁判の請求)
第四条
即決裁判の請求は、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)による公訴の提起と同時に、書面でしなければならない。
2
検察官は、即決裁判の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、即決裁判手続を理解させるために必要な事項を説明し、刑事訴訟法の定める手続に従い裁判を受けることができる旨を告げた上、即決裁判手続によることについて異議がないかどうかを確かめなければならない。
(書類等の差出)
第五条
検察官は、即決裁判の請求と同時に、即決裁判をするために必要があると思料する書類及び証拠物を裁判所に差し出さなければならない。
(通常の審判)
第六条
裁判所は、即決裁判の請求があつた場合において、その事件が即決裁判をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、刑事訴訟法の定める通常の規定に従い、審判しなければならない。
2
裁判所は、前項の規定により通常の規定に従い審判するときは、直ちに、検察官にその旨を通知しなければならない。
3
第一項の場合には、刑事訴訟法第二百七十一条及び第二百七十二条の規定の適用があるものとする。
但し、同法第二百七十一条第二項に定める期間は、前項の通知のあつた日から二箇月とする。
(審判)
第七条
即決裁判の請求があつたときは、裁判所は、前条第一項の場合を除き、即日期日を開いて審判するものとする。
(開廷)
第八条
即決裁判期日における取調及び裁判の宣告は、公開の法廷で行う。
2
法廷は、裁判官及び裁判所書記官が列席して開く。
3
検察官は、法廷に出席することができる。
(被告人及び弁護人の出頭)
第九条
被告人が期日に出頭しないときは、開廷することができない。
2
被告人が法人であるときは、代理人を出頭させることができる。
3
弁護人は、期日に出頭することができる。
(期日における取調)
第十条
期日においては、裁判長は、まず、被告人に対し、被告事件の要旨及び自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない。
2
前項の手続が終つた後、裁判長は、被告人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。
3
裁判所は、必要と認めるときは、適当と認める方法により被告人又は参考人の陳述を聴き、書類及び証拠物を取り調べ、その他事実の取調をすることができる。
4
検察官及び弁護人は、意見を述べることができる。
(証拠)
第十一条
即決裁判手続においては、被告人の憲法上の権利を侵さない限り、検察官が差し出した書類及び証拠物並びに期日において取調をしたすべての資料に基いて、裁判することができる。
(裁判の宣告)
第十二条
即決裁判の宣告をする場合には、罪となるべき事実、適用した法令、科すべき刑及び附随の処分並びに宣告があつた日から十四日以内に刑事訴訟法の定める通常の規定による審判(以下「正式裁判」という。)の請求ができる旨を告げなければならない。
2
即決裁判の宣告をしたときは、その内容を記録に明らかにしておかなければならない。
(正式裁判の請求)
第十三条
即決裁判の宣告があつたときは、被告人又は検察官は、その宣告があつた日から十四日以内に、正式裁判の請求をすることができる。
2
正式裁判の請求は、即決裁判をした裁判所に、書面でしなければならない。
3
正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、すみやかに、その旨を検察官又は被告人に通知しなければならない。
4
刑事訴訟法第四百六十六条から第四百六十八条までの規定は、正式裁判の請求又はその取下について準用する。
この場合において、同法第四百六十八条第三項中「略式命令」とあるのは、「即決裁判」と読み替えるものとする。
(即決裁判の効力)
第十四条
即決裁判は、正式裁判の請求による判決があつたときは、その効力を失う。
2
即決裁判が効力を失つたときは、刑事訴訟法第三百四十五条の二の規定による決定及び同法第三百四十五条の三において読み替えて準用する同法第三百四十二条の八第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による決定に係る勾留状は、その効力を失う。
3
即決裁判は、正式裁判の請求期間の経過又はその請求の取下げにより、確定判決と同一の効力を生ずる。
正式裁判の請求を棄却する裁判が確定したときも、同様である。
(仮納付)
第十五条
裁判所は、即決裁判の宣告をする場合において相当と認めるときは、付随の処分として、被告人に対し、仮に罰金又は科料に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。
2
前項の仮納付の裁判は、直ちに執行することができる。
ただし、正式裁判の請求があつたときは、この限りでない。
3
刑事訴訟法第四百九十条、第四百九十二条の二、第四百九十三条及び第四百九十四条の規定は、第一項の仮納付の裁判の執行について準用する。
この場合において、同法第四百九十三条中「第一審」とあるのは「即決裁判手続」と、「第二審」とあるのは「第一審又は第二審」と読み替えるものとする。
(裁判官の除斥)
第十六条
裁判官は、事件について前に即決裁判をしたときは、職務の執行から除斥される。
(刑事訴訟法との関係)
第十七条
交通に関する刑事事件の即決裁判手続については、この法律に特別の規定があるものの外、その性質に反しない限り、刑事訴訟法による。
附 則
1
この法律の施行期日は、公布の日から起算して六箇月をこえない範囲内で、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律(以下「新法」という。)は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
(交通事件即決裁判手続法の一部改正等)
第十五条
2
旧法又はこれに基づく命令に違反する罪にあたる事件の即決裁判に関する手続については、なお従前の例による。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
-
一
略
-
二
第一条中刑事訴訟法第三百四十四条に一項を加える改正規定、第二条中刑法第九十七条及び第九十八条の改正規定並びに第三条中出入国管理及び難民認定法第七十二条の改正規定(第一号を削り、第二号を第一号とし、第三号から第八号までを一号ずつ繰り上げる部分に限る。第六号において「第七十二条第一号を削る改正規定」という。)並びに附則第五条第一項及び第二項、第八条第四項並びに第二十条の規定、附則第二十四条中国際受刑者移送法(平成十四年法律第六十六号)第四十二条の改正規定、附則第二十七条中刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第二百九十三条の改正規定、附則第二十八条第二項、第三十条及び第三十一条の規定、附則第三十二条中少年鑑別所法(平成二十六年法律第五十九号)第百三十二条の改正規定、附則第三十五条のうち、刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号。以下「刑法等一部改正法」という。)第三条中刑事訴訟法第三百四十四条の改正規定の改正規定及び刑法等一部改正法第十一条中少年鑑別所法第百三十二条の改正規定を削る改正規定並びに附則第三十六条及び第四十条の規定
公布の日から起算して二十日を経過した日
-
三から五まで
略
-
六
第一条中刑事訴訟法第三百四十二条の次に七条を加える改正規定、同法第三百四十五条の次に三条を加える改正規定、同法第四百三条の二の次に二条を加える改正規定、同法第四百六十九条に一項を加える改正規定、同法第四百七十九条の次に一条を加える改正規定、同法第四百八十三条の次に一条を加える改正規定、同法第四百八十五条の次に一条を加える改正規定、同法第四百九十二条の次に一条を加える改正規定及び同法第四百九十四条の次に十三条を加える改正規定並びに第三条(第七十二条第一号を削る改正規定を除く。)の規定並びに附則第六条第一項及び第二項、第七条第二項、第八条第三項並びに第十一条第一項及び第二項の規定、附則第十三条中刑事補償法第一条第二項の改正規定、附則第十八条の規定、附則第二十四条中国際受刑者移送法第二十一条の改正規定(「第四百八十四条」を「第四百八十四条から第四百八十五条まで、第四百八十六条」に改める部分に限る。)、附則第二十六条中裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第八十三条第三項の改正規定、附則第二十七条中刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第百七十二条第二号の改正規定、附則第二十九条の規定、附則第三十二条中少年鑑別所法第百二十五条第三号の改正規定並びに附則第三十七条中刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律第四百七十九条の改正規定
公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
(罰則に関する経過措置)
第四十条
第二号施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、令和九年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
-
一
附則第三条第四項、第五条第四項、第十条第二項、第十八条第二項、第三十九条及び第四十一条の規定
公布の日
-
二
略
-
三
第一条の規定(前号に掲げる改正規定を除く。)、第五条中少年法第六条の五及び第十五条の改正規定、第九条中日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第十三条の改正規定、第十二条中日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法第五条の改正規定、第十四条中日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第五条の改正規定、第十八条中国際捜査共助等に関する法律第八条第二項及び第十二条の改正規定、第二十一条の規定、第二十二条中不正競争防止法第二十六条第二項の改正規定(「記載した書面」」を「記載し、又は記録した書面又は電磁的記録」」に、「証拠書類」」を「証拠書類(電磁的記録を含む。)」」に改める部分を除く。)、同法第三十三条の改正規定及び同条の次に一条を加える改正規定、第二十三条中組織的犯罪処罰法第十八条の二の次に二条を加える改正規定、組織的犯罪処罰法第二十条の改正規定、組織的犯罪処罰法第三十条の次に二条を加える改正規定並びに組織的犯罪処罰法第三十一条第一項及び第七十一条第一項第七号の改正規定、第二十六条中国際受刑者移送法第二十一条の改正規定(「第四百八十七条」を「第四百八十七条第一項」に改める部分を除く。)、第二十七条中心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(次条第一項及び附則第十八条第一項において「医療観察法」という。)第二十四条第三項及び第四項の改正規定、第二十八条中裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第六十五条第二項の改正規定、第三十四条中日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律第六条の改正規定、第三十五条中日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律第六条の改正規定並びに第三十六条中性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律目次及び第八条第一項第二号の改正規定、同法第四章第二節に一条を加える改正規定、同法第十二条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、同法第十三条の改正規定、同法第十七条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第五項の改正規定、同法第十八条の見出しを削り、同条の前に見出しを付し、同条の次に一条を加える改正規定、同法第十九条の改正規定、同法第二十条の見出し並びに同条第一項及び第二項の改正規定、同法第四章第四節に二条を加える改正規定並びに同法第二十六条第一項第一号、第四十条第一項第三号及び第四十四条第一号の改正規定並びに次条並びに附則第十五条及び第二十九条の規定、附則第三十五条中刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)第四百九十一条第七項の改正規定(「及び第九項から第十一項まで並びに第五百十四条」を「、第六項及び第十一項から第十三項まで並びに第五百十三条の二」に改める部分に限る。)、附則第三十八条中財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)第二十七条第二項ただし書の改正規定並びに附則第四十条の規定
公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
(政令への委任)
第三十九条
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(映像等の送受信による通話に係る取組の推進)
第四十一条
政府は、被告人又は被疑者(以下「被告人等」という。)にとって、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、刑事訴訟法第三十一条第二項の許可があった後に限る。)(以下「弁護人等」という。)の援助を受けることが重要であることに鑑み、同法第三十九条第一項の規定による接見のほかに、身体の拘束を受けている被告人等と弁護人等との間における映像と音声の送受信による通話を可能とするための運用上の措置について、地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに不正行為等の防止に万全を期しつつ、必要な取組を推進するものとする。