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362AC0000000064
昭和六十二年法律第六十四号
刑事確定訴訟記録法
(目的)
第一条
この法律は、刑事被告事件に係る訴訟の記録の訴訟終結後における保管、保存及び閲覧に関し必要な事項を定めることを目的とする。
(訴訟の記録の保管)
第二条
刑事被告事件に係る訴訟の記録(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)第二十条第一項に規定する和解記録については、その謄本)は、訴訟終結後は、当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官(以下「保管検察官」という。)が保管するものとする。
2
前項の規定により保管検察官が保管する記録(以下「保管記録」という。)の保管期間は、別表の上欄に掲げる保管記録の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるところによる。
3
保管検察官は、必要があると認めるときは、保管期間を延長することができる。
(再審の手続のための保存)
第三条
保管検察官は、保管記録について、再審の手続のため保存の必要があると認めるときは、保存すべき期間を定めて、その保管期間満了後も、これを再審保存記録として保存するものとする。
2
再審の請求をしようとする者、再審の請求をした者又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四百四十条第一項の規定により選任された弁護人は、保管検察官に対し、保管記録を再審保存記録として保存することを請求することができる。
3
前項の規定による請求があつたときは、保管検察官は、請求に係る保管記録を再審保存記録として保存するかどうかを決定し、請求をした者にその旨を通知しなければならない。
ただし、請求に係る保管記録が再審保存記録として保存することとされているものであるときは、その旨の通知をすれば足りる。
4
再審保存記録の保存期間は、延長することができる。
この場合においては、前三項の規定を準用する。
(保管記録の閲覧)
第四条
保管検察官は、請求があつたときは、保管記録(刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録に限る。次項において同じ。)を閲覧させなければならない。
ただし、同条第一項ただし書に規定する事由がある場合は、この限りでない。
2
保管検察官は、保管記録が刑事訴訟法第五十三条第三項に規定する事件のものである場合を除き、次に掲げる場合には、保管記録(第二号の場合にあつては、終局裁判の裁判書を除く。)を閲覧させないものとする。
ただし、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合については、この限りでない。
-
一
保管記録が弁論の公開を禁止した事件のものであるとき。
-
二
保管記録に係る被告事件が終結した後三年を経過したとき。
-
三
保管記録を閲覧させることが公の秩序又は善良の風俗を害することとなるおそれがあると認められるとき。
-
四
保管記録を閲覧させることが犯人の改善及び更生を著しく妨げることとなるおそれがあると認められるとき。
-
五
保管記録を閲覧させることが関係人の名誉又は生活の平穏を著しく害することとなるおそれがあると認められるとき。
-
六
保管記録を閲覧させることが裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者の個人を特定させることとなるおそれがあると認められるとき。
3
第一項の規定は、刑事訴訟法第五十三条第一項の訴訟記録以外の保管記録について、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があると認められる者から閲覧の請求があつた場合に準用する。
4
保管検察官は、保管記録を閲覧させる場合において、その保存のため適当と認めるときは、原本の閲覧が必要である場合を除き、その謄本を閲覧させることができる。
(再審保存記録の閲覧)
第五条
保管検察官は、第三条第二項に規定する者から請求があつたときは、再審保存記録を閲覧させなければならない。
2
前条第一項ただし書及び第四項の規定は、前項の請求があつた場合に準用する。
3
保管検察官は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合には、申出により、再審保存記録を閲覧させることができる。
この場合においては、前条第四項の規定を準用する。
(閲覧者の義務)
第六条
保管記録又は再審保存記録を閲覧した者は、閲覧により知り得た事項をみだりに用いて、公の秩序若しくは善良の風俗を害し、犯人の改善及び更生を妨げ、又は関係人の名誉若しくは生活の平穏を害する行為をしてはならない。
(閲覧の手数料)
第七条
保管記録又は再審保存記録を閲覧する者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。
(不服申立て)
第八条
第三条第二項の規定により保存の請求をした者(同条第四項において準用する同条第二項の規定により保存期間の延長の請求をした者を含む。)又は第四条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第五条第一項の規定により閲覧の請求をした者であつて、当該請求に基づく保管検察官の保存又は閲覧に関する処分に不服があるものは、その保管検察官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる。
2
前項の規定による不服申立てに関する手続については、刑事訴訟法第四百三十条第一項に規定する検察官の処分の取消し又は変更の請求に係る手続の例による。
(刑事参考記録の保存及び閲覧)
第九条
法務大臣は、保管記録又は再審保存記録について、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料するときは、その保管期間又は保存期間の満了後、これを刑事参考記録として保存するものとする。
2
法務大臣は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合には、申出により、刑事参考記録を閲覧させることができる。
この場合においては、第四条第四項及び第六条の規定を準用する。
3
刑事参考記録について再審の手続のため保存の必要があると認められる場合におけるその保存及び閲覧については、再審保存記録の保存及び閲覧の例による。
4
法務大臣は、法務省令で定めるところにより、第一項又は第二項の規定に基づく権限を所部の職員に委任することができる。
(法務省令への委任)
第十条
この法律に規定するもののほか、この法律の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律(以下「本法」という。)は、昭和六十三年一月一日から施行する。
(経過措置)
第二条
刑事被告事件に係る訴訟であつて本法施行の日(以下「施行日」という。)前に終結したものの記録については、本法施行の際現に保管されているものに限り、本法の規定を適用する。
第三条
前条の場合において、大審院のした裁判の裁判書については、本法施行の際現に保管検察官が原本に代えて保有するその謄本を当該裁判書とみなし、原本は最高裁判所が保存するものとする。
第四条
附則第二条の場合において、施行日から六月を経過する日前に第二条第二項の保管期間が満了することとなる訴訟の記録は、施行日から六月を経過する日まで保管するものとする。
この場合において、当該訴訟の記録の閲覧については、第四条第二項第二号の規定は適用しない。
第五条
本法施行の際現に法務大臣が刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料として保存している刑事被告事件に係る訴訟の記録は、第九条の規定による刑事参考記録とみなす。
(略式手続による訴訟の記録等に関する特例)
第六条
刑事訴訟法第六編又は交通事件即決裁判手続法(昭和二十九年法律第百十三号)に定める手続による訴訟の記録であつて法務省令で定めるものに係る本法の規定の適用については、当分の間、第二条第一項中「当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官」とあるのは、「法務省令で定める検察官」とする。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成十九年法律第九十五号)の施行の日から施行する。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
-
一
第五百九条の規定
公布の日
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、令和九年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行する。
ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
-
一
附則第三条第四項、第五条第四項、第十条第二項、第十八条第二項、第三十九条及び第四十一条の規定
公布の日
-
二
略
-
三
第一条の規定(前号に掲げる改正規定を除く。)、第五条中少年法第六条の五及び第十五条の改正規定、第九条中日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第十三条の改正規定、第十二条中日本国における国際連合の軍隊に対する刑事裁判権の行使に関する議定書の実施に伴う刑事特別法第五条の改正規定、第十四条中日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第五条の改正規定、第十八条中国際捜査共助等に関する法律第八条第二項及び第十二条の改正規定、第二十一条の規定、第二十二条中不正競争防止法第二十六条第二項の改正規定(「記載した書面」」を「記載し、又は記録した書面又は電磁的記録」」に、「証拠書類」」を「証拠書類(電磁的記録を含む。)」」に改める部分を除く。)、同法第三十三条の改正規定及び同条の次に一条を加える改正規定、第二十三条中組織的犯罪処罰法第十八条の二の次に二条を加える改正規定、組織的犯罪処罰法第二十条の改正規定、組織的犯罪処罰法第三十条の次に二条を加える改正規定並びに組織的犯罪処罰法第三十一条第一項及び第七十一条第一項第七号の改正規定、第二十六条中国際受刑者移送法第二十一条の改正規定(「第四百八十七条」を「第四百八十七条第一項」に改める部分を除く。)、第二十七条中心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(次条第一項及び附則第十八条第一項において「医療観察法」という。)第二十四条第三項及び第四項の改正規定、第二十八条中裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第六十五条第二項の改正規定、第三十四条中日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律第六条の改正規定、第三十五条中日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律第六条の改正規定並びに第三十六条中性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律目次及び第八条第一項第二号の改正規定、同法第四章第二節に一条を加える改正規定、同法第十二条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定、同法第十三条の改正規定、同法第十七条の見出し並びに同条第一項、第二項及び第五項の改正規定、同法第十八条の見出しを削り、同条の前に見出しを付し、同条の次に一条を加える改正規定、同法第十九条の改正規定、同法第二十条の見出し並びに同条第一項及び第二項の改正規定、同法第四章第四節に二条を加える改正規定並びに同法第二十六条第一項第一号、第四十条第一項第三号及び第四十四条第一号の改正規定並びに次条並びに附則第十五条及び第二十九条の規定、附則第三十五条中刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)第四百九十一条第七項の改正規定(「及び第九項から第十一項まで並びに第五百十四条」を「、第六項及び第十一項から第十三項まで並びに第五百十三条の二」に改める部分に限る。)、附則第三十八条中財務省設置法(平成十一年法律第九十五号)第二十七条第二項ただし書の改正規定並びに附則第四十条の規定
公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
(政令への委任)
第三十九条
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(映像等の送受信による通話に係る取組の推進)
第四十一条
政府は、被告人又は被疑者(以下「被告人等」という。)にとって、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、刑事訴訟法第三十一条第二項の許可があった後に限る。)(以下「弁護人等」という。)の援助を受けることが重要であることに鑑み、同法第三十九条第一項の規定による接見のほかに、身体の拘束を受けている被告人等と弁護人等との間における映像と音声の送受信による通話を可能とするための運用上の措置について、地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに不正行為等の防止に万全を期しつつ、必要な取組を推進するものとする。
別表
(第二条関係)
保管記録の区分
保管期間
一 裁判書
1 死刑又は無期拘禁刑に処する確定裁判の裁判書
百年
2 有期拘禁刑に処する確定裁判の裁判書
五十年
3 罰金、拘留若しくは科料に処する確定裁判又は刑を免除する確定裁判の裁判書
二十年(法務省令で定めるものについては、法務省令で定める期間)
4 無罪、免訴、公訴棄却又は管轄違いの確定裁判の裁判書
(一) 死刑又は無期拘禁刑に当たる罪に係るもの
十五年
(二) 有期拘禁刑に当たる罪に係るもの
五年
(三) 罰金、拘留又は科料に当たる罪に係るもの
三年
5 控訴又は上告の申立てについての確定裁判(1から4までの確定裁判を除く。)の裁判書
控訴又は上告に係る被告事件についての1から4までの確定裁判の区分に応じて、その裁判の裁判書の保管期間と同じ期間
6 その他の裁判の裁判書
法務省令で定める期間
二 裁判書以外の保管記録
1 刑に処する裁判により終結した被告事件の保管記録
(一) 死刑又は無期拘禁刑に処する裁判に係るもの
五十年
(二) 二十年を超える有期拘禁刑に処する裁判に係るもの
三十年
(三) 十年以上二十年以下の拘禁刑に処する裁判に係るもの
二十年
(四) 五年以上十年未満の拘禁刑に処する裁判に係るもの
十年
(五) 刑の一部の執行猶予を言い渡す裁判に係るもの
八年
(六) 五年未満の拘禁刑に処する裁判((五)の裁判を除く。)に係るもの
五年
(七) 罰金、拘留又は科料に処する裁判に係るもの
三年(法務省令で定めるものについては、法務省令で定める期間)
2 刑の免除、無罪、免訴、公訴棄却又は管轄違いの裁判により終結した被告事件の保管記録
(一) 死刑又は無期拘禁刑に当たる罪に係るもの
十五年
(二) 有期拘禁刑に当たる罪に係るもの
五年
(三) 罰金、拘留又は科料に当たる罪に係るもの
三年
3 その他の保管記録
法務省令で定める期間