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0 416AC0000000114 平成十六年法律第百十四号 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律 目次 第一章 総則 (第一条―第五条) 第二章 港湾施設の利用 (第六条―第九条) 第三章 飛行場施設の利用 (第十条・第十一条) 第四章 道路の利用 (第十二条) 第五章 海域の利用 (第十三条・第十四条) 第六章 空域の利用 (第十五条・第十六条) 第七章 電波の利用 (第十七条・第十八条) 第八章 雑則 (第十九条―第二十二条) 附則 第一章 総則
(目的) 第一条 この法律は、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関し、指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、その総合的な調整を図り、もって対処措置等の的確かつ迅速な実施を図ることを目的とする。
(定義) 第二条 この法律において「武力攻撃事態等」、「武力攻撃」、「指定行政機関」、「指定公共機関」、「対処基本方針」及び「対策本部長」の意義は、それぞれ武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)第一条、第二条第一号、同条第五号、同条第七号、第九条第一項及び第十一条第一項に規定する当該用語の意義による。 この法律において「対処措置等」とは、事態対処法第二条第八号イ(1)及び(2)に掲げる措置並びに対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に武力攻撃事態等を終結させるためにその推移に応じてアメリカ合衆国の軍隊が実施する日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に従って武力攻撃を排除するために必要な行動及び外国軍隊(武力攻撃事態等及び存立危機事態におけるアメリカ合衆国等の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律(平成十六年法律第百十三号)第二条第七号に規定する外国軍隊をいう。)が実施する自衛隊と協力して武力攻撃を排除するために必要な行動並びに国民の保護のための措置(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第二条第三項の国民の保護のための措置をいう。第十八条第一項第一号において同じ。)をいう。 この法律において「特定公共施設等」とは、港湾施設、飛行場施設、道路、海域、空域及び電波をいう。 この法律において「港湾施設」とは、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第二条第五項各号の港湾施設(国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第三条第三項又は地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百三十八条第四項の普通財産であるものを除く。)をいう。 この法律において「飛行場施設」とは、空港法(昭和三十一年法律第八十号)第四条第一項各号に掲げる空港及び同法第五条第一項に規定する地方管理空港の施設並びに当該空港及び地方管理空港以外の政令で定める公共の用に供する飛行場(航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第五十六条の四第一項の規定に基づき公共の用に供すべきものとして指定された着陸帯その他の施設のある自衛隊の設置する飛行場を含む。)の施設をいう。 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項の道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項の一般自動車道その他の一般交通の用に供する道をいう。 この法律において「電波」とは、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第二条第一号の電波をいう。
(対策本部長の責務) 第三条 対策本部長は、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るためには特定公共施設等の円滑かつ効果的な利用の確保が不可欠であることにかんがみ、特定公共施設等の利用に関する総合的な調整を図るに際しては、国民の理解と協力を得つつ、適切にこれを行うものとする。
(港湾管理者等の責務) 第四条 港湾管理者及び飛行場施設の管理者は、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るためには港湾施設及び飛行場施設の円滑かつ効果的な利用の確保が不可欠であることにかんがみ、港湾施設及び飛行場施設を管理運営するに際しては、これらの利用に関する指針を踏まえ、対策本部長との緊密な連携を図りつつ、適切にこれを行うものとする。
(指定行政機関等の責務) 第五条 前条に規定するもののほか、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関及び指定地方公共機関(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第二条第二項の指定地方公共機関をいう。)は、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るためには特定公共施設等の円滑かつ効果的な利用の確保が不可欠であることにかんがみ、対処措置等を実施するに際しては、対策本部長がそれぞれの特定公共施設等ごとに定めるその利用に関する指針を踏まえ、適切にこれを利用し、又は利用させるものとする。
第二章 港湾施設の利用
(港湾施設の利用指針) 第六条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、港湾施設の利用に関する指針(以下この条及び次条において「港湾施設の利用指針」という。)を定めることができる。 港湾施設の利用指針は、特定の地域における港湾施設に関し、特定の者の優先的な利用を確保する必要がある対処措置等の概要及びその期間その他の対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るために必要と認められる基本的な事項について定めるものとする。 対策本部長は、港湾施設の利用指針を定める場合には、関係する地方公共団体の長その他の執行機関及び指定公共機関の意見を聴かなければならない。 対策本部長は、港湾施設の利用指針を定めるため必要があると認めるときは、関係する地方公共団体の長その他の執行機関及び指定公共機関に対し、必要な情報の提供を求めることができる。 対策本部長は、港湾施設の利用指針を定めたときは、関係する指定行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関及び指定公共機関に通知するとともに、公にすることにより国の安全が害されるおそれがある事項を除き、その内容を公示するものとする。 対策本部長は、事態の推移に応じ、適時に港湾施設の利用指針の見直しを行うものとする。 第三項から第五項までの規定は、港湾施設の利用指針を変更し、又は廃止する場合について準用する。
(港湾施設の利用の要請) 第七条 対策本部長は、特定の港湾施設に関し、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図る上で特定の者の優先的な利用を確保することが特に必要であると認めるときは、港湾施設の利用指針に基づき、当該特定の港湾施設の名称、特定の者の優先的な利用を確保する必要がある対処措置等の内容及びその期間その他の具体的な事項を明らかにして、当該特定の港湾施設の港湾管理者に対し、当該特定の港湾施設の全部又は一部を特定の者に優先的に利用させるよう要請することができる。 前項の要請を受けた港湾管理者は、同項の要請に関し、対策本部長に対して意見を申し出ることができる。
(港湾施設の許可の変更等) 第八条 港湾管理者は、前条第一項の要請に基づきその管理する特定の港湾施設を利用させる場合において、必要があると認めるときは、当該特定の港湾施設の利用に係る許可その他の処分を変更し、又は取り消すことができる。 港湾管理者は、前項の規定により当該特定の港湾施設の利用に係る許可その他の処分を変更し、又は取り消した場合において、現に停泊中の船舶の移動が必要であると認めるときは、当該船舶の船長その他の当該船舶の運航に責任を有する者(次条第四項において「当該船舶の船長等」という。)に対し、当該船舶の移動を命ずることができる。
(港湾施設の利用に関する内閣総理大臣の措置) 第九条 内閣総理大臣は、特定の港湾施設について第七条第一項の要請に基づく所要の利用が確保されない場合において、国民の生命、身体若しくは財産の保護又は武力攻撃の排除を図るため特に必要があると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該特定の港湾施設の港湾管理者に対し、当該所要の利用を確保すべきことを指示することができる。 前条の規定は、港湾管理者が前項の指示に従いその管理する特定の港湾施設を利用させる場合について準用する。 内閣総理大臣は、第一項の指示を行ってもなお所要の利用が確保されないとき、又は国民の生命、身体若しくは財産の保護若しくは武力攻撃の排除を図るため特に必要があると認める場合であって事態に照らし緊急を要すると認めるときは、対策本部長の求めに応じ、当該港湾管理者に通知した上で、国土交通大臣を指揮し、当該特定の港湾施設の利用に係る許可その他の処分又は許可その他の処分の変更若しくは取消しを行わせることができる。 内閣総理大臣は、前項の規定により当該特定の港湾施設の利用に係る許可その他の処分又は許可その他の処分の変更若しくは取消しを行わせた場合において、現に停泊中の船舶の移動が必要であると認めるときは、国土交通大臣を指揮し、当該船舶の船長等に対し、当該船舶の移動を命じさせることができる。
第三章 飛行場施設の利用
(飛行場施設の利用指針) 第十条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、飛行場施設の利用に関する指針(以下この条及び次条において「飛行場施設の利用指針」という。)を定めることができる。 第六条第二項から第七項までの規定は、飛行場施設の利用指針について準用する。 この場合において、同条第二項中「特定の地域における港湾施設」とあるのは、「特定の地域における飛行場施設」と読み替えるものとする。
(準用) 第十一条 第七条から第九条までの規定は、特定の飛行場施設の利用の確保について準用する。 この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。 第七条第一項 港湾施設の利用指針 飛行場施設の利用指針   港湾管理者 管理者 第七条第二項 前項 第十一条において準用する第七条第一項 第七条第二項並びに第九条第二項及び第三項 港湾管理者 飛行場施設の管理者(国土交通大臣及び防衛大臣を除く。) 第八条第一項及び第二項 港湾管理者 飛行場施設の管理者 第八条第一項 前条第一項 第十一条において準用する第七条第一項   許可その他の処分を変更し、又は取り消す 必要な指示をし、又は条件を付し、若しくは変更をする 第八条第二項 前項 第十一条において準用する第八条第一項   許可その他の処分を変更し、又は取り消した 必要な指示をし、又は条件を付し、若しくは変更をした 第八条第二項及び第九条第四項 停泊中の船舶 駐機中の航空機 第八条第二項 当該船舶の船長その他の当該船舶の運航に責任を有する者(次条第四項において「当該船舶の船長等」という。) 当該航空機の機長その他の当該航空機の運航に責任を有する者(第十一条において準用する第九条第四項において「当該航空機の機長等」という。) 第八条第二項及び第九条第四項 当該船舶の移動 当該航空機の移動 第九条第一項 第七条第一項 第十一条において準用する第七条第一項   港湾管理者 管理者(国土交通大臣及び防衛大臣を除く。) 第九条第二項 前条 第十一条において準用する第八条   前項 第十一条において準用する第九条第一項 第九条第三項 第一項 第十一条において準用する第九条第一項   許可その他の処分又は許可その他の処分の変更若しくは取消しを行わせる 必要な指示をさせ、又は条件を付させ、若しくは変更をさせる 第九条第四項 前項 第十一条において準用する第九条第三項   許可その他の処分又は許可その他の処分の変更若しくは取消しを行わせた 必要な指示をさせ、又は条件を付させ、若しくは変更をさせた   当該船舶の船長等 当該航空機の機長等
第四章 道路の利用
(道路の利用指針) 第十二条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、道路の利用に関する指針(以下この条において「道路の利用指針」という。)を定めることができる。 第六条第二項から第七項までの規定は、道路の利用指針について準用する。 この場合において、同条第二項中「特定の地域における港湾施設」とあるのは、「特定の地域における道路」と読み替えるものとする。
第五章 海域の利用
(海域の利用指針) 第十三条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、海域の利用に関する指針(以下この条、次条及び第二十一条において「海域の利用指針」という。)を定めることができる。 第六条第二項から第七項までの規定は、海域の利用指針について準用する。 この場合において、同条第二項中「特定の地域における港湾施設」とあるのは、「特定の海域」と読み替えるものとする。
(船舶の航行制限等) 第十四条 海上保安庁長官は、海域の利用指針に基づき、船舶の航行の安全を確保するため、告示により、特定の海域に関し、範囲又は期間を定めて、当該特定の海域を航行することができる船舶又は時間を制限することができる。 ただし、特定の海域を航行することができる船舶又は時間を制限する緊急の必要がある場合において、当該海域を告示により定めるいとまがないときは、他の適当な方法によることができる。 海上保安庁長官は、船舶乗組員に対し、海域の利用指針の内容及び前項の処分に係る情報を迅速に提供しなければならない。
第六章 空域の利用
(空域の利用指針) 第十五条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、空域の利用に関する指針(以下この条及び次条において「空域の利用指針」という。)を定めることができる。 第六条第二項から第七項までの規定は、空域の利用指針について準用する。 この場合において、同条第二項中「特定の地域における港湾施設」とあるのは、「特定の空域」と読み替えるものとする。
(航空機の飛行制限等) 第十六条 国土交通大臣は、空域の利用指針に基づき、航空機の航行の安全を確保するため、航空法第八十条、第九十六条及び第九十九条の規定による措置を適切に実施しなければならない。
第七章 電波の利用
(電波の利用指針) 第十七条 対策本部長は、武力攻撃事態等において、対処措置等の的確かつ迅速な実施を図るため、対処基本方針に基づき、電波の利用に関する指針(以下この条及び次条において「電波の利用指針」という。)を定めることができる。 第六条第二項から第七項までの規定は、電波の利用指針について準用する。 この場合において、同条第二項中「特定の地域における港湾施設」とあるのは、「特定の電波」と読み替えるものとする。
(電波の利用調整) 第十八条 総務大臣は、無線局(電波法第二条第五号の無線局をいう。以下この条において同じ。)が行う第一号に掲げる無線通信のうち特定のものを、他の無線局が行う同号又は第二号に掲げる無線通信に優先させるため特に必要があると認めるときは、電波の利用指針に基づき、当該特定の無線通信を行う無線局について、電波法第百四条の二第一項の規定により付した免許の条件の変更、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十二条第三項の規定による総務大臣の定めの変更その他当該無線局の運用に関し必要な措置を講ずることができる。 事態対処法第二条第八号イ(1)若しくは(2)に掲げる措置又は国民の保護のための措置を実施するために必要な無線通信 電波法第百二条の二第一項各号に掲げる無線通信(前号に掲げる無線通信を除く。) 前項の規定により総務大臣が特定の無線通信を行う無線局について必要な措置を講じた場合においては、当該無線局により当該特定の無線通信を行った者は、総務大臣による無線通信の秩序の維持その他無線局の適正な運用の確保に資するため、遅滞なく、その旨を総務大臣に報告しなければならない。 第一項第一号に掲げる無線通信を行う無線局は、同項の規定により総務大臣が特定の無線通信を行う無線局について必要な措置を講じた場合において当該無線局により当該特定の無線通信を行うときを除き、同項各号に掲げる無線通信を行う他の無線局に対し、その運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。 第一項第一号に掲げる無線通信を行う無線局については、電波法第五十六条の規定は、適用しない。
第八章 雑則
(損失の補償) 第十九条 国は、第八条第一項(第九条第二項(第十一条において準用する場合を含む。)及び第十一条において準用する場合を含む。)及び第九条第三項(第十一条において準用する場合を含む。)の規定による処分が行われたときは、それぞれ、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。 前項に定めるもののほか、損失の補償に関し必要な事項は、政令で定める。
(罰則) 第二十条 第十四条第一項の規定による海上保安庁長官の処分の違反となるような行為をした者は、三月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
(緊急対処事態における特定公共施設等の利用) 第二十一条 政府は、緊急対処事態(事態対処法第二十二条第一項の緊急対処事態をいう。)においては、これに的確かつ迅速に対処し、特定公共施設等の円滑かつ効果的な利用を確保するため、第六条、第七条(第十一条において準用する場合を含む。)、第十条、第十二条、第十三条、第十四条第二項(海域の利用指針の内容に係る部分に限る。)及び第十五条から第十七条までの規定に準じ、特定公共施設等の利用に関する指針の策定その他の必要な措置を適切に講ずるものとする。
(政令への委任) 第二十二条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定める。
附 則 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 附 則
(施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則
(施行期日等) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。
附 則
(施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附 則 (施行期日) この法律は、刑法等一部改正法施行日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 第五百九条の規定 公布の日