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502AC0000000032
令和二年法律第三十二号
地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律
目次
第一章 総則
(第一条・第二条)
第二章 合併等の認可等
(第三条―第八条)
第三章 共同経営に関する協定の締結の認可等
(第九条―第十五条)
第四章 雑則
(第十六条―第十八条)
第五章 罰則
(第十九条―第二十一条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、地域において、人口の減少等により地域一般乗合旅客自動車運送事業者及び地域銀行(以下「特定地域基盤企業」と総称する。)が持続的にサービスを提供することが困難な状況にある一方で、当該サービスが国民生活及び経済活動の基盤となるものであって、他の事業者による代替が困難な状況にあることに鑑み、特定地域基盤企業の合併その他の行為について私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「私的独占禁止法」という。)の特例を定め、特定地域基盤企業の経営力の強化、生産性の向上等を通じて、将来にわたって当該サービスの提供の維持を図ることにより、地域経済の活性化及び地域住民の生活の向上を図り、もって一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
-
一
基盤的サービス
次に掲げるものをいう。
イ
道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)による一般乗合旅客自動車運送事業者が提供する運送サービス(専ら、一の市町村の区域を越え、かつ、一定の距離以上の路線において自動車を運行する事業として主務省令で定めるものに係るものを除く。)
ロ
銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)その他の法律の規定により銀行(銀行法第二条第一項に規定する銀行をいい、同法第四条第一項の免許を受けた同法第十条第二項第八号に規定する外国銀行を除く。第三号において同じ。)が提供するサービスのうち、地域における国民生活及び経済活動の基盤となるものとして主務省令で定めるもの
-
二
地域一般乗合旅客自動車運送事業者
前号イの基盤的サービスを提供している道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業者(全国の区域の全部又は大部分において当該基盤的サービスを提供している者を除く。)として主務省令で定める者をいう。
-
三
地域銀行
主として対面により第一号ロの基盤的サービスを提供している銀行(全国の区域の全部又は大部分において自らが提供している同号ロの基盤的サービスの全部又は大部分を提供していると認められる者を除く。)として主務省令で定める者をいう。
-
四
公共交通事業者
次に掲げる者をいう。
イ
鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)による鉄道事業者(旅客の運送を行うものに限る。)
ロ
軌道法(大正十年法律第七十六号)による軌道経営者(旅客の運送を行うものに限る。)
ハ
道路運送法による一般乗用旅客自動車運送事業者
ニ
海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二条第五項に規定する一般旅客定期航路事業(本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間に航路を定めて行うものを除く。)、同法第十九条の六の二に規定する人の運送をする貨物定期航路事業(本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間に航路を定めて行うものを除く。)及び同法第二十条第二項に規定する人の運送をする不定期航路事業(乗合旅客の運送をするものに限り、本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間におけるものを除く。)を営む者
第二章 合併等の認可等
(合併等の認可)
第三条
私的独占禁止法の規定は、特定地域基盤企業等(特定地域基盤企業又はその親会社(私的独占禁止法第十条第七項に規定する親会社をいう。)をいう。以下同じ。)が、主務大臣の認可を受けて行う次に掲げる行為(以下「合併等」という。)には、適用しない。
-
一
二以上の特定地域基盤企業等による合併
-
二
二以上の特定地域基盤企業等による吸収分割(会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第二十九号に規定する吸収分割をいう。)
-
三
二以上の特定地域基盤企業等による共同新設分割(私的独占禁止法第十五条の二第一項に規定する共同新設分割をいう。)
-
四
二以上の特定地域基盤企業等による共同株式移転(私的独占禁止法第十五条の三第一項に規定する共同株式移転をいう。)
-
五
特定地域基盤企業等が他の特定地域基盤企業等との間で行う当該他の特定地域基盤企業等の事業の譲受け等(私的独占禁止法第十六条第一項各号に掲げる行為をいう。第七条第一項第五号において同じ。)
-
六
特定地域基盤企業等による他の特定地域基盤企業等の株式の取得
2
前項の認可を受けて行われる合併等(同項第五号に掲げる行為を除く。)により形成される企業結合集団(私的独占禁止法第十条第二項に規定する企業結合集団をいう。以下同じ。)に属する会社の役員(私的独占禁止法第二条第三項に規定する役員をいう。以下この項において同じ。)又は従業員(私的独占禁止法第十三条第一項に規定する従業員をいう。)は、同条第一項の規定にかかわらず、当該企業結合集団に属する他の会社の役員の地位を兼ねることができる。
(基盤的サービス維持計画)
第四条
特定地域基盤企業等は、前条第一項の認可を受けようとするときは、単独で又は共同して、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を定めた計画(以下「基盤的サービス維持計画」という。)を作成し、主務大臣に提出しなければならない。
-
一
申請者の名称及び住所並びに代表者の氏名
-
二
合併等に係る契約の内容に関する主務省令で定める事項
-
三
合併等に係る特定地域基盤企業が基盤的サービスを提供する地域の範囲
-
四
合併等を通じた基盤的サービスに係る事業の改善に係る方策及び当該事業の改善に応じた基盤的サービスの提供の維持に関する事項
-
五
基盤的サービス維持計画の実施期間(合併等の効力が生じた日から五年を超えないものに限る。)
-
六
前各号に掲げるもののほか、合併等による基盤的サービスの提供の維持に関し必要な事項
2
主務大臣は、前条第一項の認可の申請があった場合において、次条第一項第一号のおそれがあると認められる地域において、当該合併等に係る特定地域基盤企業が提供する基盤的サービスに係る当該合併等により生ずる競争の状況の変化により、当該基盤的サービスの利用者に対して不当な基盤的サービスの価格の上昇その他の不当な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは、当該申請をした特定地域基盤企業等に対し、基盤的サービス維持計画に、当該不当な不利益の防止のための方策を定めることを求めることができる。
3
基盤的サービス維持計画には、当該合併等に係る特定地域基盤企業が提供する基盤的サービスに係る需要に関する事項、当該基盤的サービスに係る収支に関する事項、当該特定地域基盤企業が属する企業結合集団に属する他の会社の事業に関する事項その他の主務省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
(認可の基準)
第五条
主務大臣は、第三条第一項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る合併等が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、同項の認可をするものとする。
-
一
合併等に係る特定地域基盤企業が基盤的サービスを提供する地域の全部又は相当部分において、当該特定地域基盤企業の全部又は一部が提供する基盤的サービスに係る収支の悪化(当該基盤的サービスに係る需要の持続的な減少によるものに限る。)により、当該特定地域基盤企業の全部又は一部が当該基盤的サービスを将来にわたって持続的に提供することが困難となるおそれがあること。
-
二
合併等により、当該合併等に係る特定地域基盤企業が提供する基盤的サービスに係る事業の改善が見込まれるとともに、その改善に応じ、前号のおそれがあると認められる地域において、当該基盤的サービスの提供の維持が図られること。
-
三
第一号のおそれがあると認められる地域において、合併等により、当該合併等に係る特定地域基盤企業が提供する基盤的サービスの利用者に対して不当な基盤的サービスの価格の上昇その他の不当な不利益を生ずるおそれがあると認められないこと。
2
主務大臣は、第三条第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
3
主務大臣は、前項の規定による協議に際して、当該協議に係る合併等が次の各号に掲げる事由のいずれにも該当することについて、公正取引委員会の確認を受けなければならない。
-
一
不公正な取引方法を用いるものでないこと。
-
二
主務大臣が第一項第一号のおそれがあると認める地域以外の地域において、合併等に係る特定地域基盤企業が提供する基盤的サービスに係る競争を実質的に制限することとならないこと。
-
三
合併等に係る特定地域基盤企業又は当該特定地域基盤企業が属する企業結合集団に属する他の会社が提供する基盤的サービス以外の商品又はサービスに係る競争を実質的に制限することとならないこと。
(基盤的サービス維持計画の公表)
第六条
主務大臣は、第三条第一項の認可を行ったときは、主務省令で定めるところにより、当該認可に係る基盤的サービス維持計画を公表するものとする。
ただし、当該認可に係る合併等に係る特定地域基盤企業の業務の遂行に不当な不利益を与えるおそれのある事項については、この限りでない。
(定期の報告)
第七条
特定地域基盤企業等が第三条第一項の認可を受けて次の各号に掲げる行為をしたときは、当該各号に定める者は、主務省令で定めるところにより、当該認可に係る基盤的サービス維持計画の実施の状況その他主務省令で定める事項を主務大臣に報告しなければならない。
-
一
第三条第一項第一号に掲げる行為
吸収合併存続会社(会社法第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社をいう。)となった特定地域基盤企業等又は新設合併設立会社(同法第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社をいう。)となった特定地域基盤企業等
-
二
第三条第一項第二号に掲げる行為
吸収分割承継会社(会社法第七百五十七条に規定する吸収分割承継会社をいう。)となった特定地域基盤企業等
-
三
第三条第一項第三号に掲げる行為
新設分割設立会社(会社法第七百六十三条第一項に規定する新設分割設立会社をいう。)となった特定地域基盤企業等
-
四
第三条第一項第四号に掲げる行為
株式移転設立完全親会社(会社法第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社をいう。)となった特定地域基盤企業等
-
五
第三条第一項第五号に掲げる行為
他の特定地域基盤企業等との間で当該他の特定地域基盤企業等の事業の譲受け等を行った特定地域基盤企業等
-
六
第三条第一項第六号に掲げる行為
他の特定地域基盤企業等の株式を取得した特定地域基盤企業等
2
主務大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該報告に係る事項を公正取引委員会に通知しなければならない。
(適合命令)
第八条
主務大臣は、第三条第一項の認可を受けて行われた合併等が第五条第一項第二号又は第三号の規定に適合しなくなったと認めるときは、当該合併等に係る基盤的サービス維持計画の実施期間内において、第三条第一項各号に掲げる合併等の種別に応じて、前条第一項各号に定める者に対し、措置を講ずべき期限を示して、基盤的サービスの提供を維持するための措置、基盤的サービスに係る価格の変更その他の第五条第一項第二号又は第三号の規定に適合させるために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2
主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
3
公正取引委員会は、第三条第一項の認可を受けて行われた合併等が第五条第一項第二号又は第三号の規定に適合するものでなくなったと認めるときは、主務大臣に対し、第一項の規定による命令をすべきことを請求することができる。
4
公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、その旨を公表しなければならない。
第三章 共同経営に関する協定の締結の認可等
(共同経営に関する協定の締結の認可)
第九条
地域一般乗合旅客自動車運送事業者は、他の地域一般乗合旅客自動車運送事業者又は公共交通事業者(以下「地域一般乗合旅客自動車運送事業者等」と総称する。)との間で、基盤的サービスの提供のために次に掲げる行為を行うことを内容とする共同経営に関する協定の締結を行おうとするときは、当該他の地域一般乗合旅客自動車運送事業者等と共同して、当該協定の締結について国土交通大臣の認可を受けることができる。
-
一
地域において公共交通網を形成する路線若しくは運行系統、航路又は営業区域(以下この項及び次条第一項第二号において「路線等」という。)の全部又は一部について、共同して、期間、区間、利用回数その他の条件を定めて、利用者が当該条件の範囲内で当該全部又は一部の路線等を利用することができる定額の運賃又は料金を設定する行為その他これに類する運賃又は料金を設定する行為
-
二
地域において公共交通網を形成する路線等のうち、共同し、又は分担して運送サービスを提供する路線等を定める行為
-
三
地域において公共交通網を形成する路線等の全部又は一部について、共同して、運行回数又は運行時刻を設定する行為(運行回数の制限を伴うものに限る。)
-
四
前三号に掲げるもののほか、地域において公共交通網を形成する路線等の全部又は一部について、共同して、運賃若しくは料金又は路線等を定める行為その他の行為として政令で定めるもの
2
私的独占禁止法の規定は、地域一般乗合旅客自動車運送事業者と他の地域一般乗合旅客自動車運送事業者等が共同して行う、前項の認可を受けた協定(第十三条第一項の規定による変更の認可があったときは、その変更後のもの。次項において同じ。)の締結には、適用しない。
ただし、第十五条第六項の規定による公示があった後一月を経過したとき(同条第五項の規定による請求に応じ、国土交通大臣が同条第一項の規定による命令をした場合を除く。)は、この限りでない。
3
道路運送法第十八条から第十九条の三までの規定及び海上運送法第二十八条から第二十九条の四までの規定は、地域一般乗合旅客自動車運送事業者と他の地域一般乗合旅客自動車運送事業者等が共同して行う、第一項の認可を受けた協定の締結には、適用しない。
(共同経営計画)
第十条
前条第一項の認可を受けようとする地域一般乗合旅客自動車運送事業者等は、共同して、国土交通省令で定めるところにより、同項の協定に基づく共同経営に関し、次に掲げる事項を定めた計画(以下「共同経営計画」という。)を作成し、国土交通大臣に提出しなければならない。
-
一
申請者の名称及び住所並びに代表者の氏名
-
二
共同経営計画の区域(以下この条及び次条第一項において「計画区域」という。)及び当該計画区域内において共同経営の対象とする路線等
-
三
共同経営に関する協定に定められる前条第一項各号に掲げる行為の内容
-
四
前号の行為を行うに際し、あらかじめ、運行回数、運行距離その他の事項を勘案して、共同経営に関する協定の当事者となる地域一般乗合旅客自動車運送事業者等(以下「協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等」という。)の間で、当該行為により得られる収益を分配することを定める場合においては、当該分配に関する事項
-
五
共同経営の目標に関する次に掲げる事項
イ
基盤的サービスに係る事業の収益性の向上の程度、当該事業に従事する人員数又は当該事業に用いる車両数に係る効率の向上の程度その他の当該事業の改善に係る目標に関する事項
ロ
イの事業の改善に応じた計画区域内における基盤的サービスの提供の維持に係る目標として国土交通省令で定めるものに関する事項
-
六
共同経営の実施期間
-
七
前各号に掲げるもののほか、共同経営に関し必要な事項
2
共同経営計画には、計画区域内における地域一般乗合旅客自動車運送事業者が提供する基盤的サービスに係る事業の路線ごとの収支の状況その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
3
前条第一項の認可を受けようとする地域一般乗合旅客自動車運送事業者等は、次の各号に掲げる場合においては、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、当該申請に係る共同経営計画について、当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。
-
一
計画区域の存する市町村(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)第五条第一項に規定する地域公共交通計画(次号において単に「地域公共交通計画」という。)を作成しているものに限る。)が同法第六条第一項に規定する協議会(以下この項において単に「協議会」という。)を組織している場合
当該市町村が組織する協議会
-
二
計画区域の存する市町村の全部又は一部が協議会を組織していない場合であって、当該市町村の存する都道府県(当該市町村の区域内について地域公共交通計画を作成しているものに限る。)が協議会を組織している場合
当該都道府県が組織する協議会
-
三
前二号のいずれにも該当しない場合
前二号に定める協議会に準ずるものとして国土交通省令で定めるもの
(認可の基準)
第十一条
国土交通大臣は、第九条第一項の認可の申請があった場合において、当該申請に係る協定が次の各号のいずれにも適合するものであると認めるときは、同項の認可をするものとする。
-
一
計画区域内に、地域一般乗合旅客自動車運送事業者が提供する基盤的サービスに係る路線であって、収支が不均衡な状況にある路線が存すること。
-
二
共同経営を行うことにより、地域一般乗合旅客自動車運送事業者が提供する基盤的サービスに係る事業の改善が見込まれるとともに、その改善に応じ、前号の収支が不均衡な状況にある路線の存する計画区域内において当該基盤的サービスの提供の維持が図られること。
-
三
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律第三条第一項に規定する基本方針に照らして適切なものであること。
-
四
協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等が提供する運送サービスに係る利用者に対して不当な不利益を生ずるおそれがあると認められないこと。
-
五
計画区域内において地域一般乗合旅客自動車運送事業者が行う基盤的サービスの提供の維持を図るために必要な限度を超えない範囲内のものであること。
2
国土交通大臣は、第九条第一項の認可をしようとするときは、公正取引委員会に協議しなければならない。
3
国土交通大臣は、前項の規定による協議に際して、当該協議に係る協定が次の各号に掲げる事由のいずれにも該当することについて、公正取引委員会の確認を受けなければならない。
-
一
協定の内容及び当該協定の締結について不公正な取引方法を用いるものでないこと。
-
二
加入及び脱退を不当に制限するものでないこと。
(共同経営計画の公表)
第十二条
国土交通大臣は、第九条第一項の認可を行ったときは、国土交通省令で定めるところにより、当該認可に係る共同経営計画を公表するものとする。
(共同経営に関する協定の内容の変更)
第十三条
第九条第一項の認可を受けた協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等は、当該認可に係る協定の内容(同項各号に掲げる事項に係るものに限る。)を変更しようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、変更後の当該協定に基づく共同経営に係る共同経営計画を提出して、その変更について国土交通大臣の認可を受けなければならない。
ただし、国土交通省令で定める軽微な変更については、この限りでない。
2
第十条第三項及び前二条(第十一条第一項第一号を除く。)の規定は、前項の認可について準用する。
この場合において、第十一条第一項第二号中「前号の収支が不均衡な状況にある路線の存する計画区域」とあるのは「計画区域」と、同条第三項第一号中「締結」とあるのは「変更」と読み替えるものとする。
3
第九条第一項の認可を受けた協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等は、第一項ただし書の国土交通省令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。
(定期の報告)
第十四条
第九条第一項の認可を受けた協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等は、国土交通省令で定めるところにより、同項の認可を受けた協定(前条第一項の規定による変更の認可があったときは、その変更後のもの。次条第一項及び第五項において同じ。)に係る共同経営計画の実施の状況その他国土交通省令で定める事項を国土交通大臣に報告しなければならない。
2
国土交通大臣は、前項の規定による報告を受けたときは、遅滞なく、当該報告に係る事項を公正取引委員会に通知しなければならない。
(適合命令等)
第十五条
国土交通大臣は、第九条第一項の認可を受けた協定の内容が、第十一条第一項第二号から第五号までの規定のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、当該認可を受けた協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等に対し、措置を講ずべき期限を示して、旅客の円滑な輸送を確保するための措置、運賃又は料金の変更その他のこれらの規定に適合させるために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
2
国土交通大臣は、協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等が前項の規定による命令に違反したときは、第九条第一項の認可を取り消すことができる。
3
国土交通大臣は、前項の規定により第九条第一項の認可を取り消したときは、その旨を当該認可を受けた協定地域一般乗合旅客自動車運送事業者等に通知するとともに、公表するものとする。
4
国土交通大臣は、第一項又は第二項の規定による処分をしたときは、遅滞なく、その旨を公正取引委員会に通知しなければならない。
5
公正取引委員会は、第九条第一項の認可を受けた協定の内容が第十一条第一項第二号、第四号又は第五号の規定に適合するものでなくなったと認めるときは、国土交通大臣に対し、第一項の規定による命令をすべきことを請求することができる。
6
公正取引委員会は、前項の規定による請求をしたときは、その旨を官報に公示しなければならない。
第四章 雑則
(主務大臣等)
第十六条
この法律における主務大臣は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める者とする。
-
一
地域銀行
内閣総理大臣
-
二
地域一般乗合旅客自動車運送事業者
国土交通大臣
2
この法律における主務省令は、内閣総理大臣及び国土交通大臣が共同で発する命令とする。
(権限の委任)
第十七条
内閣総理大臣は、この法律による権限(政令で定めるものを除く。)を金融庁長官に委任する。
(主務省令への委任)
第十八条
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、主務省令又は国土交通省令で定める。
第五章 罰則
第十九条
第八条第一項又は第十五条第一項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
第二十条
第七条第一項又は第十四条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
第二十一条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。
附 則
(施行期日)
1
この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。
(この法律の廃止)
2
この法律は、この法律の施行の日から十年以内に廃止するものとする。
(調整規定)
3
この法律の施行の日が持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律(令和二年法律第三十六号)の施行の日前である場合には、同日の前日までの間における第十条第三項第一号及び第二号の規定の適用については、同項第一号及び第二号中「地域公共交通計画」とあるのは、「地域公共交通網形成計画」とする。