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0 504M60400000015 令和四年国家公安委員会規則第十五号 警護要則 警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第十三条第一項の規定に基づき、この規則を制定する。 目次 第一章 総則 (第一条・第二条) 第二章 警護の基本 (第三条・第四条) 第三章 警護員 (第五条・第六条) 第四章 情報の収集等 (第七条・第八条) 第五章 警護計画 (第九条―第十二条) 第六章 警護の実施 (第十三条―第十七条) 第七章 警護の実施に関する報告等 (第十八条) 第八章 教養訓練 (第十九条) 第九章 装備資機材 (第二十条) 第十章 雑則 (第二十一条) 附則 第一章 総則
(目的) 第一条 この規則は、警護に関し必要な基本的事項を定めることにより、警護の適切かつ確実な実施を図ることを目的とする。
(定義) 第二条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 警護対象者 内閣総理大臣、国賓その他その生命及び身体に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者として警察庁長官(以下「長官」という。)が定める者をいう。 警護計画 警護を適切かつ確実に実施するための計画をいう。 警護員 警護計画に基づき警護に従事する警察官をいう。 現場指揮官 警護の現場において警護員に対する指揮を行う警察官をいう。
第二章 警護の基本
(警護の基本) 第三条 警護は、警護対象者の身辺の安全を確保することを本旨とする。 警護は、警護計画を作成する段階から警護における危険度を評価し、それに十分対応できるものでなければならない。 警護は、組織的かつ計画的に行うとともに、警護の現場の状況に即して柔軟に対応できるものでなければならない。 警護は、一元的な指揮の下、第一号及び第二号に掲げる警護員のほか、必要に応じて第三号に掲げる警護員を配置するとともに、これらの警護員の間での適切な任務の分担の下、重層的に行わなければならない。 警護対象者の直近又は付近において、警護対象者の周囲の警戒、不審者の接近阻止、警護対象者に対する危害の排除、警護対象者の防護及び警護対象者に対する更なる危害の防止に当たる警護員 警護対象者の周辺において、不審者及び危険物の発見並びに不審者の接近阻止、警護対象者に対する危害の排除及び危険物の除去に当たる警護員 交通整理、雑踏整理その他の警護において必要な措置を執る警護員
(警護対象者及びその関係者との連携) 第四条 警護計画の作成及び警護の実施に当たっては、警護対象者及びその関係者と緊密な連絡を保ち、警護に関し必要な事項を適切に説明し、その理解と協力を得て、これを行うようにしなければならない。
第三章 警護員
(警護員の心構え) 第五条 警護員は、現場指揮官の指揮の下に、相互に緊密に連携して任務に当たらなければならない。 警護員は、犯罪、事故その他の事態により警護対象者に対し危害が切迫した場合においても、冷静かつ沈着に必要な対応ができるよう、平素から訓練に努めなければならない。 警護員は、警護対象者の生命及び身体の安全の確保という重要な役割を担っていることを自覚して任務に当たらなければならない。 警護員は、警護対象者及びその関係者との意思の疎通を図り、その信頼を得るように努めなければならない。
(警護員の服装及び言動) 第六条 警護員の服装及び言動は、その任務、場所及び状況にふさわしいものとするように努めなければならない。
第四章 情報の収集等
(長官による情報の収集等) 第七条 長官は、国内外のテロリズム等警護において想定すべき事態その他の警護を的確に実施するために必要な情報の収集並びに当該情報及び次条第二項の規定による報告の内容の分析及び整理を行い、その結果を管区警察局長並びに警視総監、道府県警察本部長及び方面本部長(以下「警察本部長」という。)に通報するものとする。
(警察本部長による情報の収集等) 第八条 警察本部長は、管轄区域内における治安情勢及び警護対象者に関連する情勢並びに警護対象者の日程その他の警護を的確に実施するために必要な情報(第十五条において「警護実施情報」という。)の収集及び分析を行わなければならない。 警察本部長は、前項の規定による情報の分析の結果のうち重要なものについては、速やかに、長官が定めるところにより、長官及び管区警察局長(以下「長官等」という。)に報告するとともに、関係警察本部長に通報しなければならない。
第五章 警護計画
(警護計画の基準) 第九条 長官は、第七条の規定による分析及び整理の結果に基づき、次に掲げる事項について、警護計画の基準を定めるものとする。 屋内又は屋外その他の警護を実施する場所の種別 講演、視察、会合その他の警護を実施する場所における警護対象者の行動の態様 警護を実施する場所における不特定多数の者の有無 前三号に掲げるもののほか、警護の態勢を決定するために重要な事項
(警護計画) 第十条 警察本部長は、警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、あらかじめ、次に掲げる事項を内容とする警護計画を作成しなければならない。 警護の基本方針に関すること。 警護本部に関することその他警護体制に関すること。 警護対象者の到着する前における不審者、危険物の発見その他の警護対象者に対する危害及び事故の防止並びに警護上の障害の除去のための必要な措置に関すること。 警護対象者への不審者の接近阻止及び警護対象者に対する危害の防止のための措置その他の警護対象者の周囲及び高所の警戒に関する措置に関すること。 交通整理及び雑踏整理の措置に関すること。 突発事案が発生した際における警護対象者に対する危害の排除、警護対象者の防護及び警護の現場からの警護対象者の退避のための措置に関すること。 各警護員の具体的な任務及び配置に関すること。 現場指揮官の氏名及び階級並びに当該現場指揮官が行う指揮の内容に関すること。 警察法(昭和二十九年法律第百六十二号。以下「法」という。)第六十一条の二第一項の規定に基づき、関係都道府県警察の一の警察官に指揮を行わせる場合は、同項の規定により相互に協議して定める事項並びに当該警察官の氏名及び階級並びに当該警察官が行う指揮の内容に関すること。 警護員が着装し、又は携帯する装備品及び通信用機材並びに警護の現場に配備する装備資機材に関すること。 十一 前各号に掲げるもののほか、警護の実施に関し必要な事項 警護計画は、第九条の警護計画の基準に適合するものでなければならない。 警護計画は、第七条及び第八条第二項の規定による通報の内容並びに同条第一項の規定による情報の分析の結果に基づき、警護対象者の意向、警護に伴う警備実施その他の警護に関連する事項を考慮して作成しなければならない。 警察本部長は、警護計画の作成に当たっては、第七条及び第八条第二項の規定による通報の内容並びに同条第一項の規定による情報の分析の結果を踏まえ、警護対象者に対する危害を想定し、警護対象者の生命及び身体の安全を確保するために必要な態勢を確保しなければならない。
(実地踏査) 第十一条 警察本部長は、警護計画の作成及び警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、警護対象者の日程に関係のある場所の実地踏査を行い、警護上の問題点を的確に把握しなければならない。
(警護計画の案の報告等) 第十二条 警察本部長は、長官が定めるところにより、警護計画の案を長官等に報告しなければならない。 長官等は、前項の規定による報告を受けた場合において必要があると認めるときは、警護計画の案を修正するよう指示し、又は警護の実施において留意すべき事項を指示するものとする。
第六章 警護の実施
(警護の実施) 第十三条 警察本部長は、警護計画に基づき、警護を実施しなければならない。
(現場指揮官) 第十四条 警察本部長は、長官が定めるところにより、現場指揮官を指名するとともに、警護の現場における指揮に必要な権限を当該現場指揮官に付与しなければならない。 警護を実施する場所の状況その他の事情によって警護計画により難い場合は、第三条の警護の基本にのっとり、現場指揮官が必要な指揮を行わなければならない。
(警護措置等の徹底) 第十五条 警察本部長は、警護の実施に当たっては、あらかじめ、警護員に、当該警護員の任務に係る警護実施情報及び警護措置その他必要な事項を、周知徹底させなければならない。
(警護本部の設置) 第十六条 警察本部長は、警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、警護本部を設置しなければならない。 警護本部長は、警護の実施に関する事項を統括し、現場指揮官に対して必要な指示を行わなければならない。
(広域にわたる警護の実施等) 第十七条 都道府県警察は、警護対象者の日程が二以上の都道府県警察の管轄区域にわたるときは、当該警護対象者に係る警護の態勢、関係都道府県警察の管轄区域の境界における警護の引継ぎに係る支障その他の事項を考慮して長官が定める基準に従い、法第六十一条の規定に基づき、その管轄区域外に、権限を及ぼすものとする。 前項の場合において、警護計画には、警護の実施に係る関係都道府県警察の任務の分担に係る事項を定めるものとする。 第一項の場合において、突発事案の発生に伴う混乱を回避し、その他警護員の活動の一体性を確保することが必要であると認められるときは、関係都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、法第六十一条の二第一項の規定に基づき、関係都道府県警察の一の警察官に指揮を行わせるものとする。 前項の一の警察官の任務その他同項の指揮に関し必要な事項は、法第六十一条の二第一項の規定により相互に協議して定めるものとする。 関係警察本部長は、第一項の場合に係る警護計画を作成するときは、あらかじめ、長官が定める事項を長官等に報告するものとする。 この場合において、長官等は、警護計画の作成に関し所要の調整を行うものとする。 関係都道府県警察は、第一項の場合に係る警護の実施に当たっては、相互に緊密な連携を図らなければならない。
第七章 警護の実施に関する報告等
第十八条 警察本部長は、警護に関し突発事案その他の特異事案が発生したときは、当該事案及びこれに対し執った措置の概要その他参考事項を速やかに長官等に報告するとともに、関係警察本部長に通報しなければならない。 警察本部長は、警護対象者の日程が二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる警護を実施したときは、当該警護の状況及び当該警護に係る参考事項を関係警察本部長に通報しなければならない。 警察本部長は、警護を実施したときは、長官が定めるところにより、当該警護の状況を確認した上で、今後の警護において留意すべき事項その他参考事項を長官等に報告しなければならない。
第八章 教養訓練
第十九条 長官は、警護の指揮を行う幹部及び警護員の育成のため、これらの教養訓練に係る体系的な計画を作成するとともに、警護対象者への攻撃その他の突発事案が発生した場合における措置に関する訓練その他の高度な教養訓練を行うものとする。 警察本部長は、前項の計画に基づき、平素から、所属の警察官に対し、その職務、経験及び技能の別に応じ、警護に関し必要な実践的教養訓練を行わなければならない。 長官は、前二項の規定による教養訓練が円滑かつ効果的に行われるよう、所要の調整を行うものとする。
第九章 装備資機材
第二十条 長官は、警護の高度化に資する装備資機材に関する情報の収集を行うとともに、その開発及び導入に努めるものとする。
第十章 雑則
(長官への委任) 第二十一条 この規則に定めるもののほか、警護に関し必要な事項は、長官が定める。
附 則 (施行期日) この規則は、公布の日から施行する。 (警護要則の廃止) 警護要則(平成六年国家公安委員会規則第十八号)は、廃止する。