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0 505AC0000000032 令和五年法律第三十二号 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律 目次 第一章 総則 (第一条―第五条) 第二章 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 (第六条) 第三章 脱炭素成長型経済構造移行債 (第七条―第十条) 第四章 化石燃料賦課金及び特定事業者負担金 第一節 化石燃料賦課金 (第十一条―第十四条) 第二節 特定事業者負担金 (第十五条―第十九条) 第五章 脱炭素成長型経済構造移行推進機構 第一節 総則 (第二十条―第二十六条) 第二節 設立 (第二十七条―第三十二条) 第三節 運営委員会 (第三十三条―第四十一条) 第四節 役員等 (第四十二条―第五十三条) 第五節 業務 (第五十四条―第五十九条) 第六節 財務及び会計 (第六十条―第六十八条) 第七節 監督 (第六十九条・第七十条) 第八節 雑則 (第七十一条・第七十二条) 第六章 雑則 (第七十三条―第七十五条) 第七章 罰則 (第七十六条―第七十九条) 附則 第一章 総則
(目的) 第一条 この法律は、世界的規模でエネルギーの脱炭素化に向けた取組等が進められる中で、我が国における脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を推進するため、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の策定、脱炭素成長型経済構造移行債の発行並びに化石燃料採取者等に対する賦課金の徴収及び特定事業者への排出枠の割当てに係る負担金の徴収について定めるとともに、脱炭素成長型経済構造移行推進機構に脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業活動を行う者に対する支援等に関する業務を行わせるための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義) 第二条 この法律において「脱炭素成長型経済構造」とは、産業活動において使用するエネルギー及び原材料に係る二酸化炭素を原則として大気中に排出せずに産業競争力を強化することにより、経済成長を可能とする経済構造をいう。 この法律において「脱炭素成長型経済構造移行債」とは、第七条第一項の規定により政府が発行する公債をいう。 この法律において「原油等」とは、次に掲げるものをいう。 原油(関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)別表第二七〇九・〇〇号に掲げる石油及び歴青油をいう。) 石油製品(関税定率法別表第二七一〇・一二号、第二七一〇・一九号及び第二七一〇・二〇号に掲げる石油及び歴青油並びにこれらの調製品(外国から本邦に到着したものに限る。)をいう。) ガス状炭化水素(関税定率法別表第二七・一一項に掲げる石油ガスその他のガス状炭化水素(採取されたもの又は外国から本邦に到着したものに限る。)をいう。) 石炭(関税定率法別表第二七・〇一項に掲げる石炭及び練炭、豆炭その他これらに類する固形燃料で石炭から製造したもの(採取されたもの又は外国から本邦に到着したものに限る。)をいう。) この法律において「化石燃料採取者等」とは、原油等を採取し、又は保税地域(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二十九条に規定する保税地域をいう。第十一条第一項及び第十二条第一号ニにおいて同じ。)から引き取る者をいう。 この法律において「特定事業者」とは、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第十五号に規定する発電事業者のうち、その発電事業(同項第十四号に規定する発電事業をいう。第十五条第一項において同じ。)に係る二酸化炭素の排出量が多い者として政令で定める者をいう。 この法律において「化石燃料賦課金」とは、第十一条第一項の規定により経済産業大臣が徴収する金銭をいい、「特定事業者負担金」とは、第十六条第一項の規定により経済産業大臣が徴収する金銭をいう。
(基本理念) 第三条 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行は、エネルギー政策基本法(平成十四年法律第七十一号)第十二条第一項に規定するエネルギー基本計画、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成十年法律第百十七号)第八条第一項に規定する地球温暖化対策計画その他のエネルギーの需給等に関する施策との整合性、中長期的なエネルギーに係る負担の抑制及び公正な移行の観点も踏まえつつ、国及び事業者の相互の密接な連携の下に、我が国経済の成長に資するものとなることを旨として、行われなければならない。
(国の責務) 第四条 国は、前条に定める基本理念にのっとり、事業者による脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資その他の事業活動が積極的に行われるよう、その技術及び事業に革新性があり中長期的に高い政策効果が見込まれる事業分野に政策資源を集中的に投入し、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業環境の整備を総合的かつ計画的に行う責務を有する。
(事業者の責務) 第五条 事業者は、第三条に定める基本理念にのっとり、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資その他の事業活動を積極的に行うよう努めなければならない。
第二章 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略
第六条 政府は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための計画(以下「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」という。)を定めなければならない。 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略は、次に掲げる事項について定めるものとする。 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する目標 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する基本的方向 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に関する次に掲げる事項 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に向けて高い政策効果を見込む事業分野に関する事項 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進のための支援措置に関する事項 その他脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に関する重要事項 脱炭素成長型経済構造移行債の発行に関する事項 化石燃料賦課金の賦課に関する事項 特定事業者負担金の賦課に関する事項 脱炭素成長型経済構造移行推進機構が行う支援に関する事項 脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の達成状況の評価に関する事項 前各号に掲げるもののほか、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関し必要な事項 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の案を作成するときは、あらかじめ、財務大臣、環境大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。 経済産業大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略を公表するものとする。 前三項の規定は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の変更について準用する。
第三章 脱炭素成長型経済構造移行債
(脱炭素成長型経済構造移行債の発行) 第七条 政府は、令和五年度から令和十四年度までの各年度に限り、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項の規定にかかわらず、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に要する費用の財源については、各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、エネルギー対策特別会計の負担において、公債を発行することができる。 前項に規定する費用の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。 脱炭素成長型経済構造移行債の発行は、各年度の翌年度の六月三十日までの間、行うことができる。 この場合において、翌年度の四月一日以後発行される脱炭素成長型経済構造移行債に係る収入は、当該各年度所属の歳入とする。
(脱炭素成長型経済構造移行債等の償還) 第八条 脱炭素成長型経済構造移行債及び当該脱炭素成長型経済構造移行債に係る借換国債(特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第四十六条第一項又は第四十七条第一項の規定により起債される借換国債をいい、当該借換国債につきこれらの規定により順次起債された借換国債を含む。次項において同じ。)については、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の収入により、令和三十二年度までの間に償還するものとする。 化石燃料賦課金及び特定事業者負担金は、脱炭素成長型経済構造移行債及び当該脱炭素成長型経済構造移行債に係る借換国債(以下この項及び第十二条第二号イにおいて「脱炭素成長型経済構造移行債等」という。)を償還するまでの間、脱炭素成長型経済構造移行債等の償還金(借換国債を発行した場合においては、当該借換国債の収入をもって充てられる部分を除く。同号イにおいて同じ。)、利子並びに脱炭素成長型経済構造移行債等の発行及び償還に関連する経費として政令で定めるものに充てるものとする。
(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に係る歳入歳出の経理) 第九条 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策(特別会計に関する法律第八十五条第三項に規定するエネルギー需給構造高度化対策に関するものに限る。)、脱炭素成長型経済構造移行債の発行及び償還並びに化石燃料賦課金及び特定事業者負担金に係る歳入歳出はエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定において経理するものとし、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策(同条第五項に規定する電源利用対策に関するものに限る。)に係る歳入歳出は同特別会計の電源開発促進勘定において経理するものとする。
(特別会計に関する法律の適用) 第十条 第七条第一項の規定により脱炭素成長型経済構造移行債を発行する場合におけるエネルギー対策特別会計についての特別会計に関する法律第十六条の規定の適用については、同条中「融通証券」とあるのは、「公債及び融通証券」とする。
第四章 化石燃料賦課金及び特定事業者負担金
第一節 化石燃料賦課金
(化石燃料賦課金の徴収及び納付義務) 第十一条 経済産業大臣は、令和十年度から、一定の期間ごとに、化石燃料採取者等から、その採取場から移出し、又は保税地域から引き取る原油等に係る二酸化炭素の排出量(当該原油等の量に政令で定める原油等の区分に応じて原油等の単位当たりの二酸化炭素の排出量として政令で定める係数を乗じて得られる数値をいう。次条第一号ニにおいて同じ。)一トン当たりについて負担すべき額(同条において「化石燃料賦課金単価」という。)に、当該二酸化炭素の排出量を乗じて得た額を徴収する。 化石燃料採取者等は、化石燃料賦課金を納付しなければならない。
(化石燃料賦課金単価) 第十二条 各年度の化石燃料賦課金単価は、第一号に掲げる額を超えない範囲内(同号に掲げる額が第二号に掲げる額を超える場合にあっては、同号に掲げる額以上であって第一号に掲げる額を超えない範囲内)において、中長期的なエネルギーに係る負担の抑制の必要性及び第八条第一項の規定の趣旨を勘案して、政令で定める。 イ及びロに掲げる額の合計額からハに掲げる額を控除して得た額を、ニに掲げる量で除して得た額 令和四年度の石油石炭税の収入額の総額から当該年度に見込まれる石油石炭税の収入額の総額を控除して得た額(当該額が零を下回る場合には、零とする。) 令和十四年度の納付金(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)第四十条第一項に規定する納付金をいう。以下この号及び第十五条第二項において同じ。)の総額から当該年度に見込まれる納付金の総額を控除して得た額(当該年度が令和十三年度以前である場合又は当該額が零を下回る場合には、零とする。) 当該年度に見込まれる特定事業者負担金の総額 当該年度に見込まれる化石燃料採取者等がその採取場から移出し、又は保税地域から引き取る原油等に係る二酸化炭素の排出量の総量 イに掲げる額をロに掲げる年数で除して得た額から前号ハに掲げる額を控除して得た額を、同号ニに掲げる量で除して得た額 当該年度の前年度までに発行した脱炭素成長型経済構造移行債の発行額から当該前年度までの化石燃料賦課金の総額及び特定事業者負担金の総額の合計額(脱炭素成長型経済構造移行債等の償還金に充てる部分に限る。)を控除して得た額 当該年度から令和三十二年度までの年数
(化石燃料賦課金の徴収に係る事務の委託) 第十三条 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造移行推進機構に、化石燃料賦課金の徴収に係る事務を行わせるものとする。
(その他化石燃料賦課金に関し必要な事項) 第十四条 この節に定めるもののほか、化石燃料賦課金の徴収の実施に関する事項その他化石燃料賦課金に関し必要な事項は、別に法律で定める。
第二節 特定事業者負担金
(特定事業者排出枠の割当て) 第十五条 経済産業大臣は、令和十五年度から、特定事業者に対して、特定事業者が行う発電事業に係る二酸化炭素の排出量に相当する枠(以下「特定事業者排出枠」という。)を有償又は無償で割り当てるものとする。 経済産業大臣は、前項の規定により特定事業者に有償で割り当てる特定事業者排出枠の量を定めるに当たっては、当該年度に見込まれる納付金の総額、当該年度に見込まれる次条第一項に規定する特定事業者負担金単価の水準、脱炭素成長型経済構造への移行の状況、エネルギーの需給に関する施策との整合性その他の事情を勘案するものとする。
(特定事業者負担金の徴収及び納付義務) 第十六条 経済産業大臣は、令和十五年度から、一定の期間ごとに、特定事業者から、次条第一項の入札により決定される二酸化炭素の排出量一トン当たりについて負担すべき額(同条において「特定事業者負担金単価」という。)に、前条第一項の規定により特定事業者に有償で割り当てる特定事業者排出枠の量を乗じて得た額を徴収する。 特定事業者は、特定事業者負担金を納付しなければならない。 各年度の特定事業者負担金の総額は、第一号に掲げる額を超えない範囲内(同号に掲げる額が第二号に掲げる額を超える場合にあっては、同号に掲げる額以上であって第一号に掲げる額を超えない範囲内)において、中長期的なエネルギーに係る負担の抑制の必要性及び第八条第一項の規定の趣旨を勘案して定めなければならない。 第十二条第一号ロに掲げる額 第十二条第二号イに掲げる額を同号ロに掲げる年数で除して得た額から同条第一号イに掲げる額を控除して得た額
(特定事業者排出枠の割当てに係る入札) 第十七条 経済産業大臣は、第十五条第一項の規定により有償で行う特定事業者排出枠の割当てについて、当該割当てに係る割当先及び特定事業者負担金単価を入札により決定する。 経済産業大臣は、前項の入札の実施に当たっては、あらかじめ、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する特定事業者の投資その他の事業活動を誘導する特定事業者負担金単価の水準、二酸化炭素の排出に係る国内外の経済動向その他の事情を勘案して、特定事業者負担金単価の額の範囲を定めるものとする。
(特定事業者排出枠の割当て等に関する業務等の委託) 第十八条 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造移行推進機構に、前条第一項に規定する割当て及び同項の入札の実施に関する業務並びに特定事業者負担金の徴収に係る事務を行わせるものとする。
(その他特定事業者排出枠に関し必要な事項等) 第十九条 この節に定めるもののほか、特定事業者排出枠の割当て及び入札の実施に関する事項その他特定事業者排出枠に関し必要な事項は、別に法律で定める。 この節に定めるもののほか、特定事業者負担金の徴収の実施に関する事項その他特定事業者負担金に関し必要な事項及び化石燃料賦課金の賦課と特定事業者負担金の賦課との調整に関する事項は、別に法律で定める。
第五章 脱炭素成長型経済構造移行推進機構
第一節 総則
(機構の目的) 第二十条 脱炭素成長型経済構造移行推進機構(以下「機構」という。)は、化石燃料賦課金及び特定事業者負担金の徴収に係る事務、特定事業者排出枠の割当て及び入札の実施に関する業務、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業活動を行う者に対する債務保証その他の支援等を行うことにより、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を推進することを目的とする。
(法人格) 第二十一条 機構は、法人とする。
(数) 第二十二条 機構は、一を限り、設立されるものとする。
(資本金) 第二十三条 機構の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。 機構は、必要があるときは、経済産業大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。 政府は、第五十四条第一項第四号イからハまでに掲げる業務に必要な資金に充てるため必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。 この場合において、政府は、これらの業務のそれぞれについて充てるべき金額を示すものとする。 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
(名称) 第二十四条 機構は、その名称中に脱炭素成長型経済構造移行推進機構という文字を用いなければならない。 機構でない者は、その名称中に脱炭素成長型経済構造移行推進機構という文字を用いてはならない。
(登記) 第二十五条 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもって第三者に対抗することができない。
(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用) 第二十六条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は、機構について準用する。
第二節 設立
(発起人) 第二十七条 機構を設立するには、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に関して専門的な知識と経験を有する者三人以上が発起人になることを必要とする。
(定款の作成等) 第二十八条 発起人は、速やかに、機構の定款を作成し、政府以外の者に対し機構に対する出資を募集しなければならない。 前項の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 目的 名称 事務所の所在地 資本金及び出資に関する事項 運営委員会に関する事項 役員に関する事項 業務及びその執行に関する事項 財務及び会計に関する事項 定款の変更に関する事項 公告の方法
(設立の認可) 第二十九条 発起人は、前条第一項の募集が終わったときは、速やかに、定款及び事業計画書を経済産業大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。 前項の事業計画書に記載すべき事項は、経済産業省令で定める。
(認可の基準) 第三十条 経済産業大臣は、前条第一項の認可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。 設立の手続並びに定款及び事業計画書の内容が法令に適合していること。 定款及び事業計画書に虚偽の記載がないこと。 役員のうちに第四十六条各号のいずれかに該当する者がいないこと。 業務の運営が公正かつ適正に行われることが確実であると認められること。 当該申請に係る機構の組織がこの法律の規定に適合するものであること。
(事務の引継ぎ) 第三十一条 設立の認可があったときは、発起人は、遅滞なく、その事務を機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。 機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。
(設立の登記) 第三十二条 機構の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあったときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。 機構は、設立の登記をすることにより成立する。
第三節 運営委員会
(設置) 第三十三条 機構に、運営委員会を置く。
(権限) 第三十四条 次に掲げる事項は、運営委員会の議決を経なければならない。 定款の変更 業務方法書の作成又は変更 予算、事業計画及び資金計画の作成又は変更 決算 その他運営委員会が特に必要と認める事項
(組織) 第三十五条 運営委員会は、委員八人以内並びに機構の理事長及び理事をもって組織する。 運営委員会に委員長一人を置き、委員のうちから、委員の互選によってこれを定める。 委員長は、運営委員会の会務を総理する。 運営委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
(委員の任命) 第三十六条 委員は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業、金融、法律又は会計に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、機構の理事長が経済産業大臣の認可を受けて任命する。
(委員の任期) 第三十七条 委員の任期は、二年とする。 ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 委員は、再任されることができる。
(委員の解任) 第三十八条 機構の理事長は、委員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、経済産業大臣の認可を受けて、その委員を解任することができる。 破産手続開始の決定を受けたとき。 拘禁刑以上の刑に処せられたとき。 心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき。 職務上の義務違反があるとき。
(議決の方法) 第三十九条 運営委員会は、委員長又は第三十五条第四項に規定する委員長の職務を代理する者のほか、委員並びに機構の理事長及び理事の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。 運営委員会の議事は、出席した委員並びに機構の理事長及び理事の過半数をもって決する。 可否同数のときは、委員長が決する。
(委員の秘密保持義務) 第四十条 委員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。 委員がその職を退いた後も、同様とする。
(委員の地位) 第四十一条 委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四節 役員等
(役員) 第四十二条 機構に、役員として理事長一人、理事六人以内及び監事一人を置く。
(役員の職務及び権限) 第四十三条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。 理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。 監事は、機構の業務を監査する。 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、運営委員会、理事長又は経済産業大臣に意見を提出することができる。
(役員の任命) 第四十四条 理事長及び監事は、経済産業大臣が任命する。 理事は、理事長が経済産業大臣の認可を受けて任命する。
(役員の任期) 第四十五条 役員の任期は、二年とする。 ただし、役員が欠けた場合における補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする。 役員は、再任されることができる。
(役員の欠格条項) 第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、役員となることができない。 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。) 拘禁刑以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者 この法律の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
(役員の解任) 第四十七条 経済産業大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が前条各号のいずれかに該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。 経済産業大臣又は理事長は、それぞれその任命に係る役員が第三十八条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときその他役員たるに適しないと認めるときは、第四十四条の規定の例により、その役員を解任することができる。
(役員の兼職禁止) 第四十八条 役員(非常勤の者を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。 ただし、経済産業大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
(監事の兼職禁止) 第四十九条 監事は、理事長、理事、運営委員会の委員又は機構の職員を兼ねてはならない。
(代表権の制限) 第五十条 機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。 この場合においては、監事が機構を代表する。
(代理人の選任) 第五十一条 理事長は、機構の職員のうちから、機構の業務の一部に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる。
(職員の任命) 第五十二条 機構の職員は、理事長が任命する。
(役員等の秘密保持義務等) 第五十三条 第四十条及び第四十一条の規定は、機構の役員及び職員について準用する。
第五節 業務
(業務の範囲) 第五十四条 機構は、第二十条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。 化石燃料賦課金の徴収に係る事務 特定事業者排出枠の割当て及び入札の実施に関する業務 特定事業者負担金の徴収に係る事務 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する事業活動(以下「対象事業活動」という。)を行う者に対する次に掲げる業務 対象事業活動を行う者の発行する社債及び資金の借入れに係る債務の保証 対象事業活動に必要な資金の出資 対象事業活動を行う者の発行する社債の引受け 対象事業活動に関する専門家の派遣 対象事業活動に関する必要な助言 前各号に掲げる業務に附帯する業務 機構は、前項各号に掲げる業務のほか、経済産業大臣の認可を受けて、その目的を達成するために必要な業務を行うことができる。
(業務の委託) 第五十五条 機構は、経済産業大臣の認可を受けて、前条第一項各号に掲げる業務の一部を委託することができる。
(業務方法書) 第五十六条 機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、経済産業大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 前項の業務方法書に記載すべき事項は、経済産業省令で定める。
(機構が従うべき基準) 第五十七条 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略に基づき、対象事業活動支援(機構が第五十四条第一項第四号イからハまでに掲げる業務により対象事業活動を行う者に対して行う支援をいう。以下同じ。)の対象となる事業者及び当該対象事業活動支援の内容を決定するに当たって機構が従うべき基準(以下この条及び次条第一項において「支援基準」という。)を定めるものとする。 経済産業大臣は、前項の規定により支援基準を定めるときは、あらかじめ、環境大臣に協議しなければならない。 経済産業大臣は、第一項の規定により支援基準を定めたときは、これを公表するものとする。 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造への移行の状況及び経済事情の変動により必要が生じたときは、支援基準を変更するものとする。 第二項及び第三項の規定は、前項の規定による支援基準の変更について準用する。
(対象事業活動支援の決定) 第五十八条 機構は、対象事業活動支援を行うときは、あらかじめ、支援基準に従って、その対象となる事業者及び当該対象事業活動支援の内容を決定しなければならない。 機構は、対象事業活動支援を行うかどうかを決定するときは、あらかじめ、経済産業大臣にその旨を通知し、相当の期間を定めて、意見を述べる機会を与えなければならない。 ただし、対象事業活動支援に係る債務の保証をする額が一定の額以下である場合その他の政令で定める場合は、この限りでない。 機構は、前項ただし書に規定する場合において、対象事業活動支援を行う旨の決定を行ったときは、速やかに、経済産業大臣にその旨及びその内容を報告しなければならない。
(対象事業活動支援の決定の撤回) 第五十九条 機構は、次に掲げる場合には、速やかに、対象事業活動支援の決定を撤回しなければならない。 対象事業活動支援の対象である事業者が対象事業活動を行わないとき。 対象事業活動支援の対象である事業者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、特別清算開始の命令又は外国倒産処理手続の承認の決定を受けたとき。 機構は、前項の規定により対象事業活動支援の決定を撤回したときは、直ちに、当該対象事業活動支援の対象である事業者に対し、その旨を通知しなければならない。
第六節 財務及び会計
(事業年度) 第六十条 機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
(予算等の認可) 第六十一条 機構は、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、経済産業大臣の認可を受けなければならない。 これを変更しようとするときも、同様とする。 経済産業大臣は、前項の認可をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
(財務諸表等) 第六十二条 機構は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他経済産業省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に経済産業大臣に提出し、その承認を受けなければならない。 機構は、前項の規定により財務諸表を経済産業大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。 機構は、第一項の規定による経済産業大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、経済産業省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
(区分経理) 第六十三条 機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。 第五十四条第一項第一号に掲げる業務及びこれに附帯する業務 第五十四条第一項第二号に掲げる業務及びこれに附帯する業務 第五十四条第一項第三号に掲げる業務及びこれに附帯する業務 第五十四条第一項第四号に掲げる業務(特別会計に関する法律第八十五条第三項に規定するエネルギー需給構造高度化対策に関するものに限る。)及びこれに附帯する業務 第五十四条第一項第四号に掲げる業務(特別会計に関する法律第八十五条第五項に規定する電源利用対策に関するものに限る。)及びこれに附帯する業務 前各号に掲げる業務以外の業務
(利益及び損失の処理) 第六十四条 機構は、前条各号に掲げる業務に係るそれぞれの勘定(以下この条において「各業務勘定」という。)において、毎事業年度の損益計算上利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。 機構は、各業務勘定において、毎事業年度の損益計算上損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。 機構は、予算をもって定める額に限り、各業務勘定における第一項の規定による積立金を当該各業務勘定に係る業務に要する費用に充てることができる。 機構は、政令で定める事業年度(第二号及び第三号において「中間事業年度」という。)に係る第一項又は第二項の規定による整理を行った後、第一号及び第二号に掲げる金額の合計額から第三号に掲げる金額を控除してなお残余があるときは、政令で定めるところにより、その残余の額を国庫に納付しなければならない。 第一項の規定による積立金の額に相当する金額 中間事業年度以前において第二十三条第三項の規定による出資を受けた額から前条第四号及び第五号に係る業務に要する費用に充てられた額を控除して得た額に相当する金額 中間事業年度の翌事業年度以降において各業務勘定に係る業務に要すると見込まれる費用として経済産業大臣の承認を受けた金額 経済産業大臣は、前項第三号の承認をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
(借入金及び脱炭素成長型経済構造移行推進機構債) 第六十五条 機構は、経済産業大臣の認可を受けて、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は脱炭素成長型経済構造移行推進機構債(以下この条及び次条において「機構債」という。)の発行(機構債の借換えのための発行を含む。)をすることができる。 この場合において、機構は、機構債の債券を発行することができる。 経済産業大臣は、前項の認可をするときは、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。 第一項の規定による借入金の現在額及び同項の規定により発行する機構債の元本に係る債務の現在額の合計額は、政令で定める額を超えることとなってはならない。 第一項の規定による機構債の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。 機構は、経済産業大臣の認可を受けて、機構債の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。 第一項、第二項及び第四項から前項までに定めるもののほか、機構債に関し必要な事項は、政令で定める。
(政府保証) 第六十六条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項の借入れ又は機構債に係る債務の保証をすることができる。
(余裕金の運用) 第六十七条 機構は、次に掲げる方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。 国債その他経済産業大臣の指定する有価証券の保有 経済産業大臣の指定する金融機関への預金 その他経済産業省令で定める方法
(経済産業省令への委任) 第六十八条 この法律に定めるもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。
第七節 監督
(監督) 第六十九条 機構は、経済産業大臣が監督する。 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関して監督上必要な命令をすることができる。
(報告及び検査) 第七十条 経済産業大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第八節 雑則
(定款の変更) 第七十一条 定款の変更は、経済産業大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
(解散) 第七十二条 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。 前項に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。
第六章 雑則
(環境大臣との関係) 第七十三条 経済産業大臣は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策の実施に当たり、当該施策の実施が環境の保全に関する施策に関連する場合には、環境大臣と緊密に連絡し、及び協力して行うものとする。
(経済産業省令への委任) 第七十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、経済産業省令で定める。
(経過措置) 第七十五条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。
第七章 罰則
第七十六条 第四十条(第五十三条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
第七十七条 第七十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
第七十八条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。 この法律により経済産業大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。 第二十五条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。 第五十四条に規定する業務以外の業務を行ったとき。 第五十八条第二項の規定に違反して経済産業大臣に通知をしなかったとき。 第六十二条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。 第六十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。 第六十九条第二項の規定による経済産業大臣の命令に違反したとき。
第七十九条 第二十四条第二項の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。 ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 附則第十条の規定 公布の日 第十三条、第十八条、第五章及び第七章並びに附則第四条から第九条まで、第十二条から第十五条まで及び第十七条の規定 公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日
(経過措置) 第二条 一般会計の負担に属する公債のうち、額面金額の合計額が一兆千三十四億四千六百三十五万円に相当する公債(財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律(平成二十四年法律第百一号)第三条第一項の規定により発行されたものに限る。)であって政令で定めるものに関する権利義務は、この法律の施行の日において、エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に帰属する。 前項の規定により権利義務がエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に帰属した公債については、脱炭素成長型経済構造移行債とみなす。 令和六年度における特別会計に関する法律第四十二条第二項に規定する繰入金額の算定については、同項に規定する国債の総額から第一項に規定する金額を控除するものとする。
第三条 この法律の施行の際一般会計に所属する権利義務であって、次に掲げるものは、政令で定めるところにより、エネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に帰属するものとする。 令和四年度の一般会計補正予算(第2号)(以下この条において「令和四年度第二次補正予算」という。)に計上された費用のうち脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に要する費用(以下この条において「脱炭素成長型経済構造移行費用」という。)に関する権利義務(財政法第十四条の三第一項又は第四十二条ただし書の規定により繰り越して使用することとされたものに関する権利義務を除く。) 財政法第十五条第一項又は第二項の規定により国が負担した債務のうち脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策に係る事業に関するもの(当該債務を負担する行為により支出すべき費用について同法第十四条の三第一項又は第四十二条ただし書の規定により繰り越して使用することとされたものに関する債務を除く。) 令和四年度第二次補正予算に計上された脱炭素成長型経済構造移行費用に関する経費であって、財政法第十四条の三第一項又は第四十二条ただし書の規定により繰越しをしたものについて、令和五年度以降、不用となった金額又は国に返納された金額(以下この項において「不用額等」という。)がある場合には、当該不用額等があった年度の翌々年度までに、当該不用額等(返納の際に当該金額に延滞利息又は加算金が付されている場合には、これらの金額を含む。)を、一般会計からエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に繰り入れるものとする。 令和四年度第二次補正予算に脱炭素成長型経済構造移行費用として計上された額が当該額に係る支出済歳出額及び翌年度繰越額の合計額を上回る場合には、予算で定めるところにより、令和六年度までにその上回る額を、一般会計からエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に繰り入れるものとする。 令和四年度第二次補正予算に計上された費用のうち脱炭素成長型経済構造移行費用(第一項の規定により同項に掲げる権利義務がエネルギー対策特別会計のエネルギー需給勘定に帰属したものに限る。)についての特別会計に関する法律第八十五条第三項第一号の規定の適用については、同号中「経済産業大臣又は環境大臣」とあるのは、「文部科学大臣、経済産業大臣又は環境大臣」とする。
第四条 附則第一条第二号に掲げる規定の施行の際現にその名称中に脱炭素成長型経済構造移行推進機構という文字を用いている者については、第二十四条第二項の規定は、同号に掲げる規定の施行後六月間は、適用しない。
第五条 刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(附則第九条において「刑法施行日」という。)の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者については、これを拘禁刑に処せられた者とみなして、第三十条第三号、第三十八条第二号、第四十六条第二号及び第四十七条第一項の規定を適用する。
第六条 機構は、別に法律で定める日の前日までの間は、第五十四条第一項第四号及び第五号(同項第四号に係る部分に限る。)並びに第二項に規定する業務を行うものとする。 この場合において、第七十八条の規定の適用については、同条第三号中「第五十四条」とあるのは、「第五十四条第一項第四号及び第五号(同項第四号に係る部分に限る。)並びに第二項」とする。
第七条 機構の最初の事業年度は、第六十条の規定にかかわらず、その成立の日に始まり、その後最初の三月三十一日に終わるものとする。
第八条 機構の最初の事業年度の予算、事業計画及び資金計画については、第六十一条第一項中「当該事業年度の開始前に」とあるのは、「機構の成立後遅滞なく」とする。
第九条 刑法施行日の前日までの間における第七十六条の規定の適用については、同条中「拘禁刑」とあるのは、「懲役」とする。 刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する同条の規定の適用についても、同様とする。
(政令への委任) 第十条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。
(検討) 第十一条 政府は、国及び事業者の相互の密接な連携による脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資その他の事業活動の実施状況、二酸化炭素の排出に係る国内外の経済動向その他の事情を勘案しつつ、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する施策の在り方について、脱炭素成長型経済構造移行推進戦略の実施状況を踏まえて検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。 政府は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を推進する観点から、前項の規定による検討とともに、第十四条及び第十九条の規定に基づき、特定事業者排出枠並びに化石燃料賦課金及び特定事業者負担金に係る制度を実施する方法について、特定事業者排出枠に係る取引を行う市場の本格的な稼働のための具体的な方策を含めて検討を加え、それらの結果に基づいて、この法律の施行後二年以内に、必要な法制上の措置を講ずるものとする。