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506AC0000000027
令和六年法律第二十七号
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律
目次
第一章 総則
(第一条・第二条)
第二章 重要経済安保情報の指定等
(第三条―第五条)
第三章 他の行政機関等に対する重要経済安保情報の提供
(第六条―第九条)
第四章 適合事業者に対する重要経済安保情報の提供等
(第十条)
第五章 重要経済安保情報の取扱者の制限
(第十一条)
第六章 適性評価
(第十二条―第十七条)
第七章 雑則
(第十八条―第二十二条)
第八章 罰則
(第二十三条―第二十八条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条
この法律は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障(外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護及び活用に関し、重要経済安保情報の指定、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供、重要経済安保情報の取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
(定義)
第二条
この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
-
一
法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
-
二
内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
-
三
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
-
四
内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁その他政令で定めるもの
-
五
国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
-
六
会計検査院
2
この法律において「行政機関の長」とは、次の各号に掲げる行政機関の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。
-
一
次号及び第三号に掲げる機関以外の機関
当該機関の長
-
二
前項第四号及び第五号の政令で定める機関(次号に掲げるものを除く。)
当該機関ごとに政令で定める者
-
三
合議制の機関
当該機関
3
この法律において「重要経済基盤」とは、我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役務であってその安定的な提供に支障が生じた場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供体制並びに国民の生存に必要不可欠な又は広く我が国の国民生活若しくは経済活動が依拠し、若しくは依拠することが見込まれる重要な物資(プログラムを含む。)の供給網をいう。
4
この法律において「重要経済基盤保護情報」とは、重要経済基盤に関する情報であって次に掲げる事項に関するものをいう。
-
一
外部から行われる行為から重要経済基盤を保護するための措置又はこれに関する計画若しくは研究
-
二
重要経済基盤の脆弱性、重要経済基盤に関する革新的な技術その他の重要経済基盤に関する重要な情報であって安全保障に関するもの
-
三
第一号の措置に関し収集した外国(本邦の域外にある国又は地域をいう。以下同じ。)の政府又は国際機関からの情報
-
四
前二号に掲げる情報の収集整理又はその能力
第二章 重要経済安保情報の指定等
(重要経済安保情報の指定)
第三条
行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(特別防衛秘密(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密をいう。)及び特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成二十五年法律第百八号。以下「特定秘密保護法」という。)第三条第一項に規定する特定秘密をいう。以下同じ。)に該当するものを除く。)を重要経済安保情報として指定するものとする。
2
行政機関の長は、前項の規定による指定(以下「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る重要経済安保情報の範囲を明らかにするため、重要経済安保情報である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
-
一
政令で定めるところにより、重要経済安保情報である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下この号において同じ。)若しくは物件又は当該情報を化体する物件に重要経済安保情報の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
-
二
重要経済安保情報である情報の性質上前号に掲げる措置を講ずることが困難である場合においては、政令で定めるところにより、当該情報について指定が行われた旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
3
行政機関の長は、重要経済安保情報である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
(指定の有効期間及び解除)
第四条
行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
2
行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
3
指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができない。
4
前項の規定にかかわらず、行政機関の長は、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合(行政機関が会計検査院であるときを除く。)は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて延長することができる。
ただし、次に掲げる情報を除き、指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない。
-
一
現に行われている外国の政府又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報
-
二
情報収集活動の手法又は能力に関する情報
-
三
人的情報源に関する情報
-
四
外国の政府又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供された情報
-
五
前各号に掲げる情報に準ずるもので政令で定める重要な情報
5
行政機関の長は、前項の内閣の承認を得ようとする場合においては、当該指定に係る重要経済安保情報の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該重要経済安保情報を提示することができる。
6
行政機関の長は、第四項の内閣の承認が得られなかったときは、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第八条第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る情報が記録された行政文書ファイル等(同法第五条第五項に規定する行政文書ファイル等をいう。)の保存期間の満了とともに、これを国立公文書館等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。)に移管しなければならない。
7
行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。
(重要経済安保情報の保護措置)
第五条
行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条第一項又は第二項の規定により重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該重要経済安保情報の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。
2
警察庁長官は、都道府県警察が保有する情報について指定をしたときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。
3
前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該都道府県警察による当該重要経済安保情報の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。
この場合において、当該都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該重要経済安保情報の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせるものとする。
第三章 他の行政機関等に対する重要経済安保情報の提供
(他の行政機関に対する重要経済安保情報の提供)
第六条
重要経済安保情報を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務を遂行するために当該重要経済安保情報を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該重要経済安保情報を提供することができる。
ただし、当該重要経済安保情報を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該重要経済安保情報について指定をしているとき(当該重要経済安保情報が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
2
前項の規定により他の行政機関に重要経済安保情報を提供する行政機関の長は、当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲その他の当該他の行政機関による当該重要経済安保情報の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。
3
第一項の規定により重要経済安保情報の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めることその他の当該重要経済安保情報の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせるものとする。
(都道府県警察に対する重要経済安保情報の提供等)
第七条
警察庁長官は、警察庁が保有する重要経済安保情報について、その所掌事務のうち我が国の安全保障に関するものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該重要経済安保情報を提供することができる。
2
第五条第三項の規定は、前項の規定により都道府県警察に重要経済安保情報を提供する場合について準用する。
3
警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する重要経済安保情報で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。
(外国の政府等に対する重要経済安保情報の提供)
第八条
重要経済安保情報を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち我が国の安全保障に関するものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該重要経済安保情報を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該重要経済安保情報を提供することができる。
ただし、当該重要経済安保情報を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該重要経済安保情報について指定をしているとき(当該重要経済安保情報が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
(その他公益上の必要による重要経済安保情報の提供)
第九条
第四条第五項、前三条、次条第一項及び第十八条第四項に規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、重要経済安保情報を提供するものとする。
-
一
重要経済安保情報の提供を受ける者が次に掲げる業務又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該重要経済安保情報を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該重要経済安保情報を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該重要経済安保情報が利用されないようにすることその他の当該重要経済安保情報を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして、イに掲げる業務にあっては附則第十条の規定に基づいて国会において定める措置、イに掲げる業務以外の業務にあっては政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。
イ
各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの
ロ
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、刑事事件の捜査又は公訴の維持に必要な業務であって、当該業務に従事する者以外の者に当該重要経済安保情報を提供することがないと認められるもの
-
二
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項(同法第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合
-
三
情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
-
四
会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
2
警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする重要経済安保情報が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、重要経済安保情報を提供することができる。
第四章 適合事業者に対する重要経済安保情報の提供等
第十条
重要経済安保情報を保有する行政機関の長は、重要経済基盤の脆弱性の解消、重要経済基盤の脆弱性及び重要経済基盤に関する革新的な技術に関する調査及び研究の促進、重要経済基盤保護情報を保護するための措置の強化その他の我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るために、当該脆弱性の解消を図る必要がある事業者又は当該脆弱性の解消に資する活動を行う事業者、当該調査若しくは研究を行う事業者又は当該調査若しくは研究に資する活動を行う事業者、重要経済基盤保護情報を保有する事業者又は重要経済基盤保護情報の保護に資する活動を行う事業者その他の我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者であって重要経済安保情報の保護のために必要な施設設備を設置していることその他政令で定める基準に適合するもの(次条第四項を除き、以下「適合事業者」という。)に当該重要経済安保情報を利用させる必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該重要経済安保情報を提供することができる。
ただし、当該重要経済安保情報を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該重要経済安保情報について指定をしているとき(当該重要経済安保情報が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
2
行政機関の長は、当該行政機関の長が保有していない情報であって、当該行政機関の長がその同意を得て適合事業者に行わせる調査又は研究その他の活動により当該適合事業者が保有することが見込まれるものについて指定をした場合において、前項本文に規定する目的のために当該情報を当該適合事業者に利用させる必要があると認めたときは、当該適合事業者に対し、当該情報について指定をした旨を通知するものとする。
この場合において、当該行政機関の長は、当該適合事業者との契約に基づき、当該指定に係る情報を、当該適合事業者に重要経済安保情報として保有させることができる。
3
前二項の契約には、次に掲げる事項を定めなければならない。
-
一
次条第一項又は第二項の規定により重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうち、当該適合事業者が指名して重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人その他の従業者(以下この条、第十二条第一項第一号及び第二号並びに第十三条第二項において「従業者」という。)の範囲
-
二
重要経済安保情報の保護に関する業務を管理する者の指名に関する事項
-
三
重要経済安保情報の保護のために必要な施設設備の設置に関する事項
-
四
従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育に関する事項
-
五
前項の規定により重要経済安保情報を保有する適合事業者にあっては、当該行政機関の長から求められた場合には当該重要経済安保情報を当該行政機関の長に提供しなければならない旨
-
六
前各号に掲げるもののほか、当該適合事業者による当該重要経済安保情報の保護に関し必要なものとして政令で定める事項
4
第一項の規定により重要経済安保情報の提供を受け、又は第二項の規定により重要経済安保情報を保有する適合事業者は、当該各項の契約に従い、当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる従業者の範囲を定めることその他の当該重要経済安保情報の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせるものとする。
5
第二項の規定により適合事業者に重要経済安保情報を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該重要経済安保情報の提供を求めることができる。
6
第四項に規定する適合事業者は、前条第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする重要経済安保情報について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号若しくは第三号に掲げる場合には、重要経済安保情報を提供することができる。
7
第四項に規定する適合事業者は、前二項の規定により提供する場合を除き、重要経済安保情報を提供してはならない。
第五章 重要経済安保情報の取扱者の制限
第十一条
重要経済安保情報の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該重要経済安保情報を提供し、若しくは保有させる行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項又は第十五条第一項の規定による適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による評価対象者(次条第二項に規定する評価対象者をいう。同条第一項第一号イ及び第二号において同じ。)への通知があった日から十年を経過していないものに限る。)において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項(第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による告知があった者(次項において「再評価対象者」という。)を除く。)でなければ行ってはならない。
ただし、次に掲げる者については、次条第一項又は第十五条第一項の規定による適性評価を受けることを要しない。
-
一
行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては、当該機関の長)
-
二
国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
-
三
内閣官房副長官
-
四
内閣総理大臣補佐官
-
五
副大臣
-
六
大臣政務官
-
七
前各号に掲げるもののほか、職務の特性その他の事情を勘案し、次条第一項又は第十五条第一項の規定による適性評価を受けることなく重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者
2
前項の規定にかかわらず、重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる行政機関の長若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該重要経済安保情報を提供し、若しくは保有させる行政機関の長又は当該業務を行わせる警察本部長が特定秘密保護法第十二条第一項又は第十五条第一項の規定により直近に実施したこれらの規定による適性評価(当該適性評価の後に当該行政機関の長又は警察本部長による次条第一項又は第十五条第一項の規定による適性評価が実施された場合のものを除く。以下「特定秘密直近適性評価」という。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(再評価対象者及び特定秘密保護法第十二条第一項第三号又は第十五条第一項第三号に掲げる者として特定秘密保護法第十二条第三項(特定秘密保護法第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による告知があった者を除く。)は、当該特定秘密直近適性評価に係る特定秘密保護法第十三条第一項(特定秘密保護法第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年間に限り、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができる。
3
特定秘密保護法第十六条第一項の規定にかかわらず、行政機関の長及び警察本部長は、重要経済安保情報の取扱いの業務を自ら行わせ、又は適合事業者が行わせるのに必要な限度において、同項に規定する適性評価の結果に係る情報を自ら利用し、又は提供することができるものとする。
4
特定秘密保護法第十六条第二項の規定にかかわらず、特定秘密保護法第五条第四項に規定する適合事業者及び特定秘密保護法第十六条第二項に規定する事業主は、重要経済安保情報の取扱いの業務を自ら行わせ、又は当該事業主に係る適合事業者が行わせるのに必要な限度において、特定秘密保護法第十三条第二項又は第三項の規定により通知された内容(同条第二項に規定する結果に係るものに限る。)を自ら利用し、又は提供することができるものとする。
第六章 適性評価
(行政機関の長による適性評価の実施)
第十二条
行政機関の長は、次に掲げる者について、その者が重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
-
一
当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第十条第一項若しくは第二項の契約(同号において「契約」という。)に基づき重要経済安保情報の提供を受け、若しくは重要経済安保情報を保有する適合事業者の従業者として重要経済安保情報の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者であって、次に掲げるもの以外のもの
イ
当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(第三号において「直近適性評価認定者」という。)のうち、当該適性評価に係る次条第一項の規定による評価対象者への通知があった日から十年を経過していないものであって、引き続き当該おそれがないと認められるもの
ロ
当該行政機関の長が実施した特定秘密直近適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(以下この項において「特定秘密直近適性評価認定者」という。)のうち、当該特定秘密直近適性評価に係る特定秘密保護法第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過していないものであって、引き続き当該おそれがないと認められるもの
-
二
当該行政機関の職員又は当該行政機関との契約に基づき重要経済安保情報の提供を受け、若しくは重要経済安保情報を保有する適合事業者の従業者として重要経済安保情報の取扱いの業務を現に行う者であって、当該行政機関の長が直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による評価対象者への通知があった日から十年(特定秘密直近適性評価認定者である者にあっては、当該行政機関の長が実施した特定秘密直近適性評価に係る特定秘密保護法第十三条第一項の規定による通知があった日から五年)を経過した日以後重要経済安保情報の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれるもの
-
三
直近適性評価認定者又は特定秘密直近適性評価認定者であって、引き続き重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
2
適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査(以下この条及び第十六条第一項において「適性評価調査」という。)を行い、その結果に基づき実施するものとする。
-
一
重要経済基盤毀損活動(重要経済基盤に関する公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、重要経済基盤に関して我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるもの並びに重要経済基盤に支障を生じさせるための活動であって、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人を当該主義主張に従わせ、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で行われるものをいう。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
-
二
犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
-
三
情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
-
四
薬物の濫用及び影響に関する事項
-
五
精神疾患に関する事項
-
六
飲酒についての節度に関する事項
-
七
信用状態その他の経済的な状況に関する事項
3
適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
ただし、第七項の規定の適用を受けて実施する場合においては、当該告知をすることを要しない。
-
一
前項各号に掲げる事項について適性評価調査が行われる旨
-
二
適性評価調査を行うため必要な範囲内において、第六項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
-
三
評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
4
行政機関の長は、適性評価を実施するときは、第七項の規定の適用を受けて実施される場合を除き、内閣総理大臣に対し、必要な資料を添えて、適性評価調査を行うよう求めるものとする。
ただし、当該行政機関の業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合(当該適性評価が同項の規定の適用を受けて実施される場合を除く。)には、当該行政機関の長が、政令で定めるところにより、自ら適性評価調査を行うものとする。
5
内閣総理大臣は、行政機関の長から前項の規定により適性評価調査を行うよう求められたときは、政令で定めるところにより、当該評価対象者について適性評価調査を行い、当該評価対象者が重要経済安保情報を漏らすおそれに関する意見(第七項において「調査意見」という。)を付して、当該適性評価調査の結果を当該行政機関の長に通知するものとする。
6
適性評価調査を行う内閣総理大臣又は行政機関の長は、適性評価調査を行うため必要な範囲内において、その職員に評価対象者若しくは評価対象者の知人その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
7
第二項の規定にかかわらず、評価対象者が、適性評価を実施する行政機関の長(以下この項において「実施行政機関の長」という。)以外の行政機関の長又は警察本部長が実施した適性評価(次条第一項(第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から十年を経過しておらず、かつ、第五項(第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定により内閣総理大臣が当該適性評価に係る適性評価調査を行ったものに限り、当該適性評価の後に実施行政機関の長による適性評価が実施された場合のものを除く。)のうち直近のもの(以下この条において「直近他機関適性評価」という。)において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者である場合において、当該評価対象者について実施行政機関の長が実施する適性評価については、適性評価調査を行わず、直近他機関適性評価において行われた適性評価調査の結果に基づき実施するものとする。
この場合において、内閣総理大臣は、実施行政機関の長の求めに応じ、直近他機関適性評価において行われた適性評価調査の結果及びこれに付した調査意見を当該実施行政機関の長に通知するものとする。
8
前項の規定の適用を受けて実施された適性評価を受けた評価対象者に対して行われた次条第一項の規定による通知は、前条第一項並びにこの条第一項第一号イ及び第二号の規定の適用については、直近他機関適性評価の結果について次条第一項(第十五条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による評価対象者への通知が行われた日に行われたものとみなす。
(適性評価の結果等の通知)
第十三条
行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果(当該適性評価が前条第七項の規定の適用を受けて実施された場合にあっては、その旨を含む。次項及び次条第一項において同じ。)を評価対象者及び内閣総理大臣に対し通知するものとする。
2
行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときはその結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときはその旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。
3
前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。
4
行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を併せて通知するものとする。
ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。
(行政機関の長に対する苦情の申出等)
第十四条
評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。
2
行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。
3
評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。
(警察本部長による適性評価の実施等)
第十五条
警察本部長は、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。
-
一
当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として重要経済安保情報の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者であって、次に掲げるもの以外のもの
イ
当該警察本部長が直近に実施した適性評価において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(第三号において「直近警察適性評価認定者」という。)のうち、当該適性評価に係る次項において読み替えて準用する第十三条第一項の規定による評価対象者への通知があった日から十年を経過していないものであって、引き続き当該おそれがないと認められるもの
ロ
当該警察本部長が実施した特定秘密直近適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(以下この項において「特定秘密直近警察適性評価認定者」という。)のうち、当該特定秘密直近適性評価に係る特定秘密保護法第十五条第二項において準用する特定秘密保護法第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過していないものであって、引き続き当該おそれがないと認められるもの
-
二
当該都道府県警察の職員として重要経済安保情報の取扱いの業務を現に行う者であって、当該警察本部長が直近に実施した適性評価に係る次項において読み替えて準用する第十三条第一項の規定による評価対象者への通知があった日から十年(特定秘密直近警察適性評価認定者である者にあっては、当該警察本部長が実施した特定秘密直近適性評価に係る特定秘密保護法第十五条第二項において準用する特定秘密保護法第十三条第一項の規定による通知があった日から五年)を経過した日以後重要経済安保情報の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれるもの
-
三
直近警察適性評価認定者又は特定秘密直近警察適性評価認定者であって、引き続き重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
2
前三条(第十二条第一項並びに第十三条第二項及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。
この場合において、第十二条第三項第三号中「第一項第三号」とあるのは「第十五条第一項第三号」と、同条第四項中「内閣総理大臣」とあるのは「警察庁長官を通じて内閣総理大臣」と、「行政機関の業務」とあるのは「都道府県警察の業務」と、同条第五項中「結果を」とあるのは「結果を警察庁長官を通じて」と、同条第七項中「適性評価を実施する行政機関の長(以下この項において「実施行政機関の長」という。)以外の行政機関の長又は警察本部長」とあるのは「行政機関の長又は適性評価を実施する警察本部長(以下この項において「実施警察本部長」という。)以外の警察本部長」と、「実施行政機関の長による」とあるのは「実施警察本部長による」と、「実施行政機関の長が」とあるのは「実施警察本部長が」と、「実施行政機関の長の求め」とあるのは「実施警察本部長が警察庁長官を通じて行う求め」と、「当該実施行政機関の長」とあるのは「警察庁長官を通じて当該実施警察本部長」と、同条第八項中「この条第一項第一号イ」とあるのは「第十五条第一項第一号イ」と、第十三条第一項中「ものとする」とあるのは「ものとする。この場合において、内閣総理大臣への通知は、警察庁長官を通じて行うものとする」と読み替えるものとする。
(適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限)
第十六条
内閣総理大臣並びに行政機関の長及び警察本部長は、重要経済安保情報の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果その他適性評価又は適性評価調査の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。
ただし、適性評価又は適性評価調査の実施によって当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則の定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条第一項各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合若しくは同条第二項各号若しくは第三項各号若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号若しくは第二項各号若しくは第二十九条第一項各号又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたとき及び特定秘密保護法第十二条第四項に基づく照会に対して必要な事項を報告するときは、この限りでない。
2
第十三条第二項又は第三項の規定による通知を受けた適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、重要経済安保情報の保護以外の目的のために、当該通知の内容を自ら利用し、又は提供してはならない。
(権限又は事務の委任)
第十七条
内閣総理大臣又は行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限又は事務をその職員に委任することができる。
第七章 雑則
(重要経済安保情報の指定等の運用基準等)
第十八条
政府は、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定(行政機関の長が、事業者が適合事業者に該当すると認めることをいう。以下同じ。)に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。
2
内閣総理大臣は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴いた上で、その案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
3
内閣総理大臣は、毎年、第一項の基準に基づく重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定の状況を前項に規定する者に報告し、その意見を聴かなければならない。
4
内閣総理大臣は、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定が第一項の基準に従って行われていることを確保するため必要があると認めるときは、行政機関の長(会計検査院を除く。)に対し、重要経済安保情報である情報を含む資料の提出及び説明を求め、並びに重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定について必要な勧告をし、又はその勧告の結果とられた措置について報告を求めることができる。
(国会への報告等)
第十九条
政府は、毎年、前条第三項の意見を付して、重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施並びに適合事業者の認定の状況について国会に報告するとともに、公表するものとする。
(関係行政機関の協力)
第二十条
内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、重要経済安保情報の指定、適性評価の実施、適合事業者の認定その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、重要経済基盤保護情報であって特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。
(政令への委任)
第二十一条
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
(この法律の解釈適用)
第二十二条
この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
2
出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。
第八章 罰則
第二十三条
重要経済安保情報の取扱いの業務に従事する者がその業務により知り得た重要経済安保情報を漏らしたときは、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
重要経済安保情報の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
2
第四条第五項、第八条、第九条、第十条第五項若しくは第六項又は第十八条第四項の規定により提示され、又は提供された重要経済安保情報について、当該提示又は提供の目的である業務により当該重要経済安保情報を知り得た者がこれを漏らしたときは、三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第九条第一項第一号ロに規定する場合において提示された重要経済安保情報について、当該重要経済安保情報の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
3
前二項の罪の未遂は、罰する。
4
過失により第一項の罪を犯した者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
5
過失により第二項の罪を犯した者は、六月以下の拘禁刑又は二十万円以下の罰金に処する。
第二十四条
外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全若しくは国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の重要経済安保情報を保有する者の管理を害する行為により、重要経済安保情報を取得したときは、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2
前項の罪の未遂は、罰する。
3
前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。
第二十五条
第二十三条第一項又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2
第二十三条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、二年以下の拘禁刑又は二百万円以下の罰金に処する。
第二十六条
第二十三条第三項若しくは第二十四条第二項の罪を犯した者又は前条の罪を犯した者のうち第二十三条第一項若しくは第二項若しくは第二十四条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
第二十七条
第二十三条の規定は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
2
第二十四条及び第二十五条の罪は、刑法第二条の例に従う。
第二十八条
法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第二十三条第一項若しくは第三項(同条第一項に係る部分に限る。)又は第二十四条第一項若しくは第二項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。
2
法人でない団体について前項の規定の適用がある場合には、その代表者又は管理人が、その訴訟行為につき法人でない団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
附 則
(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
ただし、第十八条第一項及び第二項(基準の変更に係る部分を除く。)の規定並びに附則第五条、第六条及び第八条から第十条までの規定は、公布の日から施行する。
(重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる行政機関等の職員に関する経過措置)
第二条
この法律の施行の日(次条及び附則第四条において「施行日」という。)から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間においては、第十一条第一項の規定にかかわらず、行政機関の長又は警察本部長は、当該行政機関又は都道府県警察の職員のうち当該行政機関の長又は警察本部長が指名する者に重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせることができる。
この場合において、第五条第一項及び第三項並びに第六条第二項及び第三項の規定の適用については、第五条第一項中「第十一条第一項又は第二項の規定により重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関」とあるのは「当該行政機関」と、同項及び同条第三項並びに第六条第三項中「の範囲を定める」とあるのは「を指名する」と、第五条第三項及び第六条第二項中「範囲その他」とあるのは「指名その他」とする。
(民事訴訟法の規定により裁判所に重要経済安保情報を提示する場合に関する経過措置)
第三条
施行日から民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十八号)の施行の日の前日までの間における第九条第一項第二号の規定の適用については、同号中「第二百二十三条第六項(同法第二百三十一条の三第一項において準用する場合を含む。)」とあるのは、「第二百二十三条第六項」とする。
(調整規定)
第四条
施行日が刑法等の一部を改正する法律(令和四年法律第六十七号)の施行の日(以下この条において「刑法施行日」という。)前である場合には、刑法施行日の前日までの間における第二十三条(第三項を除く。)、第二十四条第一項及び第二十五条の規定(以下この条において「第二十三条等の規定」という。)の適用については、第二十三条第一項及び第二項、第二十四条第一項並びに第二十五条中「拘禁刑」とあるのは「懲役」と、第二十三条第四項及び第五項中「拘禁刑」とあるのは「禁錮」とする。
刑法施行日以後における刑法施行日前にした行為に対する第二十三条等の規定の適用についても、同様とする。
(政令への委任)
第五条
前三条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
(指定及び解除の適正の確保)
第九条
政府は、重要経済安保情報の指定及びその解除の適正を確保するために必要な方策について検討し、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(国会に対する重要経済安保情報の提供及び国会におけるその保護措置の在り方)
第十条
国会に対する重要経済安保情報の提供については、政府は、国会が国権の最高機関であり各議院がその会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定める権能を有することを定める日本国憲法及びこれに基づく国会法等の精神にのっとり、この法律を運用するものとし、重要経済安保情報の提供を受ける国会におけるその保護に関する方策については、国会において、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。